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幸せに働く人たちを増やすために − PwDAアライ宣言 | 八木橋パチの #混ぜなきゃ危険

あなたは、幸せになるために仕事をしていますか? それとも、不幸にならないために仕事をしていますか?

少し、時間を取って考えてみてもらえると嬉しいです。

どうでしょう、どちらか一方である人は少ないんじゃないかという気がします。きっと、AかBかではなくてその両方。そしてバランスの問題ではないでしょうか。

私の場合、「幸せになるため」に仕事をしている度合いがすごく高いです。結構昔からそうな気がします。今は80:20くらいの割合かなぁ。皆さんはどうですか?

幸せに働く人たちが周囲に増えれば、自分も幸せに働ける

「幸せになるための仕事のしかた」については、たくさんの情報や解説がウェブサイトや書籍に溢れています。きっと皆さんも見たことありますよね。この文章を書くにあたって、私も今回改めて少し調べてみました。

「短期的なものではなく長期的な幸せを追うようにしましょう」
「プラスの感情をしっかりと味わうべし」
「比較する対象は他人ではなく過去の自分」

−− こんなアドバイスがすぐにたくさん見つかりました。どれもとても有効なものだと思います。でも、私が今回書こうと思っていたことは目に付きませんでした。

それは、幸せは伝染性・拡散性が高いものなので、自分の周りの人たちに幸せに働いてもらうようにしようというものです。

幸せやポジティブ感情が(そして不幸せやネガティブ感情も)周囲にうつることは昔からよく知られていましたが、近年はさまざまな調査でそれが実証されていますよね。それなら、仕事を通じて自分がもっと幸せになるためには(あるいはより不幸でなくなるためにも)、仕事における自分の周囲の人たち、つまり同僚たちに、もっと幸せに働いて貰えばいいのです。

そのやり方はいろいろあると思うのですが、今回は一つの方法として、いま、私が試し始めている「アライ活動」を紹介します。

アライとは |性的マイノリティー支援だけではないアライ活動

アライとは、味方や同盟、仲間や支援者を意味する英単語「ally」を語源としています。日本では性的マイノリティー当事者を支援する「LGBTQアライ」がよく知られていると思いますが、支援対象はそれだけではありません。

当事者たちが自分の本当の姿を隠す必要を感じず安心して活躍できる環境を、当事者と一緒に作っていこうという活動すべてがアライ活動であり、あらゆるマイノリティーや不利な立場に置かれてしまいがちな人たちが、アライ活動の対象となります。そしてアライグループとは、当事者とその仲間や支援者の集まりを指します。

私はこれまでもIBMでLGBTQアライとして活動していましたが、今年からはPwDAアライの活動にも参加しています。

PwDAは「People with Diverse Abilities」の略で、「多様な能力を持つ人びと」を意味します。以前は「障害を持つ人びと」を意味する「People with Disabilities」というグループ名でしたが、「ある側面から見れば障害と呼べるかもしれないが、それは個性であり大きな可能性でもある」という考えから、名前をPwDAアライへと変更しました。

本当の自分の姿や現在置かれている状況を隠さなければならないことがどれだけ心を苛むものか。悟られないようにし続けることの心理的負担が、本来の力の発揮をどれほど邪魔するか。どちらも誰でも容易に想像できることかと思います。

障害を持つ職場の仲間たちが本当の姿を隠す必要を感じずに安心して活躍できれば、彼らは今よりも幸せに働けます。もっと高いパフォーマンスを発揮できます。そして、彼らの近くで働く私も、もっと幸せに働けます。

それならば、自分の編集・ライティングという得意領域を活かして、障害を持つ職場の仲間たちに彼らに本当の姿を発信してもらわない手はないですよね(なお、得意分野で力を発揮するのも幸福度をグッと高めてくれるものなので、私にとっては一石二鳥です)。

障害はどこにあるのか | Q by Livesenseの記事を熟読する

私には昨年、PwDAの活動とは別に、障害者支援について学ぶ機会がありました。障害者が楽しく働き生活するための支援施設を立ち上げた、旧い仲間に話を聞く機会があったのです。


他にも、IBM社内の障害者向けインターンシッププログラムの講義を取材する機会もありました。


これらの経験を通じて、障害者を取り巻く環境の厳しさや、障害そのものについてもいくらかは学び、理解しているつもりでいました。そしてそれぞれの記事に対する反応も悪くなかったことから、きっとIBM社内の当事者にも、同じように発信に協力してくれる人が多いのではないかと思いました。

ただ、一方で、昨年読んで大きな感銘を受けた記事のことが気になっていました。それは株式会社リブセンスの私が愛してやまない企業メディア「Q by Livesense」に公開されている下記の記事です。


この記事では、筆者は「リブセンスという会社が、発達障害を周囲に対してオープンにできる環境となっているか」、そして「自分にできる事があるならそれはどんなことか」という問いに真摯に向かい合い、実際に当事者たちの声を聞くところから始めています。そして、そこで耳にした障害を持つ社員たちの声が、赤裸々に書かれています。

「オープンにしたことでマイナスイメージを持たれるのは嫌」
「社内に発達障害を持つ社員のモデルケースがあればいいのに」
「同じ職場で働く仲間として一方的にあなたのことだけを教えてくださいって、なんかそれはフェアじゃない」

どれも、本当にその通りだなあって思います。記事が取り上げているのは発達障害ですが、他の障害だってまったく同じですよね。はて、IBM社内の当事者たちは、本当に発信を求めているのでしょうか?