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午前は農業・午後はシステム開発――山形と愛知の距離を超えて実現した「半農・半IT」の働き方

半農・半IT。それは、1日・1年の中でスケジュールを調整して、体を動かす農業とITの仕事を掛け持ちする働き方――。

「違う種類の仕事をうまく組み合わせて働いたら、効率もいいし、面白そうなのに!」と思ったことがある人も多いはず。しかし、実現には何かとハードルがあると予想されます。

そんな中、距離が離れたところにある農業とシステム開発の会社が協業し、1人の社員が2つの会社に所属しながら2種類の仕事に取り組み半農・半ITを実現した事例を見つけました。

実践したのは、山形県庄内町でベビーリーフの生産販売を行う株式会社いで葉工望と、愛知県で自社システム開発・運用を行うワークウェア社会保険労務士法人。

2021年にスタートした半農・半ITの取り組みでどのようなメリットを得られたのか、実現のためのポイントを伺いました。

成田浩輝さん 
いで葉工望社長。40年以上、山形県庄内町で米作りを行い、4年ほど前からベビーリーフの栽培をスタート。2018年に法人化し、従業員は9名。36棟ものビニールハウスで通年ベビーリーフを栽培している。

立岩優征さん
ワークウェア社会保険労務士法人代表。1996年に立岩経営労務事務所を設立し、2007年に法人化。2001年から愛知県社会保険労務士会電子化委員として業界のデジタル化に対応し、長期に渡り業界の電子化に注力してきた。2022年春には、『人事労務DX データによる働き方改革2.0(中央経済社)』を出版。

遠田克さん
1997年生まれ。高専を卒業業、システムエンジニアとして3年働いたのち、いで葉工望へ。「半農・半IT」を実践中。

前例なき「半農・半IT」な働き方とは?

提供写真

1人の社員が異業種、しかも違う地域の仕事を同時に受け持つというのはチャレンジですよね……! 改めて、半農・半ITで働くという取り組みをはじめたきっかけを教えてください。

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いで葉工望
成田

きっかけは、ITエンジニアの経験をもつメンバーがいで葉工望へ入ったのを立岩さんが知ったことです。それで、「1年の半分を農業、残りの時間をエンジニアとして働いてもらうことはできないかな?」と相談されたんです。

立岩さんは、なぜそんな提案を?

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社労士
立岩

私は社労士として、20年近く政府のDX施策にも関わり、デジタルを基盤にした新しい働き方にずっと挑戦してきました。

いわゆる副業は、本業とは別の時間帯で働くスタイルを指すます。一方、「ダブルワーク」という言葉が広がりはじめていますが、こちらはいわゆる二刀流です。

よって、デジタルを使ってもっと違う働き方できるのではないか?と考えたときに頭に浮かんだのが「半農・半IT」でのダブルワークです。

また、私の母は山形県庄内出身で。庄内地域に何か関わりたい、という思いもありました。

それで、山形でベビーリーフ生産をしている成田さんにご提案をされたんですね。

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社労士
立岩

はい。農業や漁業はその場にいないとできませんが、ソフトウェア開発はネットワーク環境があればどこでもできる仕事です。

物理的距離が離れていてもできる仕事と、現場にいないとできない仕事を組み合わせることで、どちらにもメリットになる働き方ができるのではないかと考えたのです。

素朴な疑問なのですが、2つの仕事を同時にすると、かなり忙しくなるのではありませんか?

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社労士
立岩

東北地方の場合、冬は雪で農業ができません。反対に、社労士は年末から年度末にかけて忙しくなる仕事。

農業の閑散期と社労士の繁忙期がちょうど重なった。だからこそ、1年を通じて効率よく働けるのではないか?という仮説はありました。

いで葉工望(農業)と、ワークウェア(IT)の繁忙期の違い

なるほど! とはいえ、いきなりの提案だと戸惑いそうですね……。

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いで葉工望
成田

実は立岩さんと私は親戚同士なんです。一緒に仕事をするのは初めてしたが、お互いの人柄はよく知っていました。

もちろん意外な提案でしたが、すでに信頼関係があったからこそ、前向きに「やってみよう」と思い、動くことができました。