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遠慮なく休むための3つの準備 「休みを取るのを遠慮する」のをやめよう(澤円)

仕事でもプライベートでも、やりたいことは山のようにある。同時に、周りからのいろいろな頼まれごとにも向き合っていくと、いつの間にか予定はいつもパンパンに。この働き方、暮らし方は思っていたのと、ちょっと違う気がする……。そんなときに必要なのは、こだわりや常識、思い込みを手放すことなのかもしれません。連載「やめるための言葉」では、圓窓代表取締役・澤円さんと一緒に「やめること」について考えていきます。

日本企業にありがちな「休み」に対する意識

会社勤めをしている人にとって、甘美な響きを持つ「休み」という言葉。週末や祝日、年末年始休暇、夏季休暇など、いろんな休みがありますね。

そして、勤め人ならではの休みの権利である「有給休暇」。お給料をもらいながらお休みを取るという、実に素晴らしい制度です。本来なら働く日を休みに変えることができる、魔法の言葉が「有給休暇」です。

素敵ですよね〜〜〜、休んでいるのにお金はもらえる。どんどん使っていきたいものです。

でも、実情としては「わーい、この権利をバシバシ使って楽しく過ごすぞ!」っていうモードで働いている人ばかりではないようです。それどころか、休むことそのものに罪悪感を感じたり、さらには休むということを諦めてしまう人もいたりするようです。

有給休暇というのは労働基準法でも定められている権利です。

【労働基準法第39条】
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えられなければならない。

ビジネスにおける最重要項目は「法令遵守」であることを考えれば、休みを取ることに対して後ろめたさを感じる理由はないはずなのですが、そうはなっていないというのが現実にはあったりしますよね。

休みにくくする要因あれこれ

なんで休みを取りにくいと感じるのでしょうか。これはホントに人それぞれに理由が思いつくとは思うのですが、ざっくりまとめると「他人の存在」ということになろうかと思います。

「休みを申請するとチクチクいう人がいる」
「『自分は休んでない』とマウントポジション取りに来る人がいる」
「めちゃくちゃ忙しそうな同僚がいる」

こんな感じで、どうしても休みを取ることに踏み切れない人がきっといますよね。

「休みをとることを拒否する」という行為は、労働基準法第39条によると「有給休暇を合理的な理由もなく拒否すると、労働基準法第39条の違反となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」となっており、立派な違法行為です。

なので、もしも有給休暇取得に対して常にネガティブな反応をするような会社であれば、違法行為を黙認しているということでとっとと転職しましょう。

このように、明確に違法行為だという場合は割り切りもできるのですが、ちょっとひっかかるのは「雰囲気的に休みにくい」という場合です。休みをとるという行為が一般的ではなく、かなり特殊なことに思えるような職場だと、ちょっと休みをとるのは勇気が要りますよね。

かくいうボクも、サラリーマン時代にとにかく休まないタイプでした。いわゆる「体力お化け」のタイプで、休みは土日と祝日で十分! なんならどっちかは仕事する! みたいな生活していました。

趣味がないわけではなかったのですが、有休をとらなくても十分に楽しんでいたのでした。ただ、このような生活パターンをしていると、知らない間に周囲が休みにくいと感じていたようです。

もちろん、そんなの気にせず休めばいいじゃんと思いますし、他人のふるまいを同調圧力ととらえすぎるのは別の意味で問題でしょう。

とはいえ、マネージャーになったりすると、自分のふるまいが他人に与える影響を考えるのも大事な仕事になってきます。なので、チームを持ったり後輩ができたりしたら「休む姿を見せるのも仕事のうち」と考えるようにするといいでしょう。

遠慮なく休むために準備すること

では、遠慮なく休むためにあらかじめしておく、3つの準備について考えてみましょう。

まずは「自分の仕事のスピードを知ること」です。自分はどれくらいのスピードで仕事を終えられるのかを知っていれば、休みによって前後に振り分けられる仕事の分量を量ることができます。

「休み明けにこれを回しても大丈夫だな」とわかっていれば、休み中に残作業に意識が向きすぎることが減るでしょう。終わらせられるかどうかが分からない、という状態だと休みが楽しめなくなりますからね。

次に、「人が休みをとるときに笑顔で反応する」という心がけです。他の人が休むときに嫌な顔をするのに、自分が休むのは無条件で認めろっていうのはあまりにも都合がよすぎますからね~!

その時、「何するんですか?」「どこ行くんですか?」という詮索はお勧めしません。言いたくないことかもしれないし、心楽しい休みではないかもしれないし、「お土産を請求するつもりか?」と勘繰られるかもしれないし……と、あんまりいいことはないので「休むんですね、承知です!」とだけ伝えればOKでしょう。

最後に「休みの過ごし方にはルールはないと心得る」です。実は、無目的に休むことに後ろめたさを感じる必要はないですよ、という意味です。

自分的ルールが確立しているのであれば、それはそれでいいのですが、それがないからと言って自分を責める必要は全くないのです。ずーっとYouTubeを見ていてもいいし、ひたすら寝ていてもいいし、丸一日かけて鶏がらスープを煮込んでいてもいいのです。

ちなみに、先日ボクはかみさんとイベント参加のためにアメリカに行っていたのですが、特に用事のない日があったので、目の前に止まっていた電車に飛び乗って終点まで行ってくるという旅をしてみました。本当に何もない街に到着しただけだったのですが、めちゃくちゃ楽しい時間でした。

一見すると無駄に思えるこんな時間も、休みの過ごし方としてはいいんじゃないかなと思います。ぜひ、休みをとることに引け目を感じることなく、どんどん休日を楽しみましょうね。

アイキャッチ制作:サンノ
編集:ノオト