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長く働き続けるために大切な「自己決定」 働きやすい場所は自分で選ぼう(『リモートワーク大全』著者・壽かおり)

家で仕事をしていると、けじめがつけられない……。気がついたら、とっぷりと日が暮れている……。どうしたら、ちゃんと気分転換ができるんだろう。そんな、「仕事のスイッチのON/OFF」をどうしているのか、リモートワークでメリハリをつけるための考えていることや、工夫していることについて、『リモートワーク大全』(ポプラ社)の著者・壽かおりさんに教えていただきました。

自分が一番パフォーマンスを出せる働き方を選ぶ

2016年夏、所属する企業「シックス・アパート」がフルリモートワークになりました。オフィスに行くのは必要な時だけ。普段は自分にとって一番生産性が高い場所を選んで働ける。家でも、近所のカフェでも、旅行先でもいい。私も毎日の通勤をぱったりとやめて、好きな場所で働くようになりました。

そんな働き方を伝えると、他社で働く方から「私には無理だわ。自分1人だけで仕事をきちんと進めていく自信がない。誰かの目があるところじゃないと」と言われたこともあります。

時を進めて、2022年夏。コロナ禍になって3年目になる現在は、その方も自宅の勤務環境を整え、すっかりオンライン会議に慣れたそうです。とはいえ「やるしかないので、なんとかやってきた」というのが正直なところで、「家で1人で働くしんどさ」が消えたわけではないのだとか。

コロナ禍をきっかけに、「毎日みんなが集まらなくてもいいリモートで仕事が回るチーム」に切り替えた方も多いはず。今度はその環境を活かして、自分が一番パフォーマンスを出せる働き方を選ぶように考え方を変えてみてはどうでしょう。

コロナ禍前から自由度の高い働き方をしてきた経験から、長く幸せに働き続けていくために心がけていることについて書いてみます。

幸せに働き続けるためには、自己決定が大事

シックス・アパートでは、「個人の生産性を高める」ために働く場所や時間を自由に選べます。給与は変わらず、自分にとって都合の良い場所で働けて、通勤時間が減った分プライベートの時間が増える。幸せに働ける結果として良い仕事ができる、という好循環を期待しています。幸せな働き方のポイントは、自己決定です。

2018年に発表された論文「幸福感と自己決定―日本における実証研究 (西村和雄氏・八木匡氏 2018年)」に、「幸福感を決定する、健康、人間関係に次ぐ要因としては、所得、学歴よりも自己決定が強い影響を与えている」とあります。

私にとっての働き方の自己決定とは「毎日オフィスに行かなければいけない」でもなくて、「毎日家で働かなければいけない」でもなくて、「自分にとって都合の良い働き方を自分で選べる裁量があること」です。

評価されるのは「オフィスで真面目に働く姿」ではなく、チャレンジと成果。その健全で合理的なプレッシャーと、自己決定できる自由な働き方を維持したいという気持ちは私が働き続けるモチベーションになっています。

毎日働く場所、自宅を快適にする

では、私がどんな場所で働いているかを例としてご紹介します。まずは、業務時間の8割ほどを過ごす自宅のワークスペースです。

十分な速さのネットワーク回線、サクサク動くデスクトップパソコン、大きめのモニター、手に馴染むキーボード、座面が広い椅子、スマホスタンド、サブのノートパソコン、イヤホン、保温タンブラーに好みのお茶、AIアシスタントのAlexa、手を伸ばせば辞書にも文房具にも各種充電ケーブルにもすぐ手が届く。これが私のデスクです。

おしゃれさよりも実用性重視の自宅デスク

残念ながら個室の書斎ではないし、デスク自体も小さめ、必要なアイテムがごちゃごちゃしていて、おしゃれさもありません。すぐ隣にはむすめのデスクもある。だけど、十分快適なワークスペースです。