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オンラインのコワーキングスペースってどんな感じ? 「みんなのオンラインコワーキング(みんコワ)」を3カ月使ってみた

24時間365日誰でも無料で使えるオンラインのコワーキングスペースがあるのをご存知でしょうか?

みんなのバーチャルコワーキングジャパンこと「みんコワ」は、2020年4月のコロナ禍にオープンし、3周年を迎えました。利用方法は、バーチャルオフィス(Oasis)にログインするだけなのですが、本当に無料なの? 一体どんな場所なの? どんな人が使っているの? ……などなどわからないこともたくさん。

今回は「みんコワ」を3カ月体験し、運営協力者の卯田理子さんと遠藤果穂さんにお話を伺いました。

卯田 理子(うだ みちこ)
新潟市在住のフリーランスのウェブデザイナー。「みんコワ」がオープンした2020年に利用者として使い始め、現在は運営協力者に。デザイン部のメンバーとしても活躍中!

遠藤 果穂(えんどう かほ)
千葉県在住のパート主婦。2022年5月頃から利用者として使い始め、お声がけいただき運営協力者に。

ルールを作らないのが、ルール

この3カ月、何度か「みんコワ」を使いながら利用者さんにお話を伺ったのですが、いろんな方が集まっていますよね! しかも、24時間365日使えて。「本当に無料でいいの!?」と驚いてしまいました。

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卯田

ありがとうございます。気に入って何度もリピートして使っていただく方もいますが、毎日数人ずつ新しい方がいらっしゃるんですよ。

利用者は幅広い業種、年代の方が集まってきます。ご自宅でリモートワークをしながらつなぐ方、農業など自営業をしている方、子育て中の方、コーチングや社会福祉に関わる方などなど。

「みんコワ」の全体像。利用者登録をして、画面の中の椅子を押すと、同じテーブルに集まる人たちとオンライン通話が始まる。カメラ・音声のオンオフも自由。

24時間365日使えるっていうのもすごいですよね。

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卯田

「いつでも使えるスペース」を現実化したらこうなりました(笑)。

海外に住んでいる日本人の方や、夜型でお仕事したい方、フリーランスで自由な時間に働いている方などいろんな方が使ってくれています。

今は日本語だけなので、外国人の方の利用は少ないのですが、今後はもっとみんなが集える場所になったらいいなとは考えています。

そもそも「みんコワ」はいつ、どのように作られたのでしょうか?

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卯田

オープンしたのはコロナ禍の2020年4月。発起人は、大阪のコワーキングスペース「オオサカンスペース」を運営する大崎弘子さん。「コロナ禍でもオンラインで集える場所を」と、複数のコワーキングスペースの人たちに声をかけて立ち上げました。

運営協力者さんもたくさんいますよね。

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卯田

はい。私は2020年5月半ばに、「オンラインもくもく会」ができる場所を探している中で「みんコワ」を知り、使いはじめたのがきっかけです。いろんな人とお話して、頻繁に通っているうちにお誘いをいただき、運営協力者として関わるようになりました。

遠藤

私はもともとは「コワーキングスペース」という言葉すら知りませんでした。「もくもく会」をきっかけに参加させてもらい1年ほど利用しているのですが、今では私にとっては欠かせない“居場所”になっています。

普通に過ごしていたら絶対に知り合うことのなかった人たちとお話しできたり、全国の方と交流できたりするのは「みんコワ」ならでは。最近は仕事が忙しくてなかなかログインできていないので、みんなに会いたくてうずうずしています(笑)。

お二人とも利用者から運営側にシフトしたんですね! オンラインコミュニティにはルールは必要だと思いますが、「みんコワ」の場合はどうでしょうか?

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卯田

「みんコワ」では、ルールを作らないことをルールにしています。ルールがあると、ルールを守ることに気を遣いすぎて本来のゴールに向かっていきづらくなりますから。

明らかな迷惑行為はNGですが、顔が見え、実名で参加している方が多いので、オフラインのコミュニケーションに近いのかもしれません。

おかげさまで、これまで大きなトラブルは起きていません。「自由に好きなことをやっていいよ」というのが「みんコワ」の特徴ともいえますね。

遠藤

あと集まる人同士が、すぐ仲良くなれるのも特徴ですよね。一見さんでも入りやすい雰囲気が自然とできあがっているので、利用者さんの目的に合わせて楽しめます。

つながりを求めている人は、運営の人たちを通じて利用者さんを紹介してくれますし、自分の世界で仕事に集中したい人は「カメラ・マイクオフ」の座席で“ひとけ”を感じながら仕事できるし、みんなが過ごしやすい空間ですよ。

とある日のイベントテーブル(ポモドーロタイム)の様子。カメラのオン・オフは自由で、25分作業、5分休憩を繰り返すもの。イベント参加者以外にも、他のテーブルで作業する人がチラホラ。

ものすごく優しい世界!

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企画や部活も「ご自由にどうぞ」

「みんコワ」では、常にいろんな企画が動いていますよね。どのイベントも無料なのに驚きです!

水曜日のお昼に開催されている「オンラインからだづくり」は、毎週参加したいと思うくらい楽しい企画でした。

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「オンラインからだづくり」の様子。この日は「ひざ」を中心に、全身を伸ばすストレッチを実施しました。ほんの15分でも気分スッキリ!

卯田

「オンラインからだづくり」は毎週やっているので、ぜひぜひ(笑)。こうしたイベント参加をきっかけに、みんコワの利用者になる方も多いですよ。

企画やイベントは、運営協力者からの提案もありますが、利用者さんから「これをみんコワでやりたい」という声をいただくこともあります。

運営上のルールがないといっても、決めなければいけないことはたくさんあるので、「24時間決議」を導入しています。やりたいアイディアや企画を運営協力者のDiscordに投稿してから24時間誰もストップをかけなければやってOKな仕組みにしています。

スピーディーな運営体制ですね! 利用者さん同士では、どんな企画が生まれるのでしょうか?

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遠藤

利用者さん同士の共通の趣味でつながる部活が自然と発生することもありますよ。ゲームが好きな人で集まるゲーム部、英語を楽しむEnglish部など、自由にいろいろな部活動が動いています。

お仕事だけでなく、趣味でもつながれるっていいですね。以前、「木曜もくもく会」に参加したのですが、本当にいろんな業種の方がいらっしゃいました。

会社員が多いかな?と思っていたら、大学生から農家さんまでいらっしゃって、私にとって人生初のもくもく会でしたが、楽しく参加させてもらいました。

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「木曜もくもく会」とは、各自が“もくもく”と勉強や読書など、約3時間作業に没頭するもの。

卯田

もくもく会は、木曜日と土曜日に開催しています。入退出自由なので、初めての方にもおすすめです。

つるたさんが参加された時は、15名ほどと大人数でのもくもく会でしたが、数人しかいない時もあり、参加人数はまちまち。常に誰かがいると思うと、不思議と作業がはかどりませんでしたか?

はかどりました! ほどよい雑談タイムもあって、ひとりで作業しているよりも、心が落ち着いた感じがありました。図書館で勉強しているような感覚というか(笑)。

オンラインだけど“ひとけ”を感じながら仕事できるのは集中できたポイントかもしれないです。

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卯田

終了後には、希望者で「振り返り会」も行っています。これだけ頑張ったよ!と画面共有しながら成果を発表する人もいるので、参加者さん同士の刺激になりますよね。

常連さんからご新規さんまで大歓迎な「木曜日もくもく会 振り返り会」でのショット。

リニューアルでもっと使いやすく

3周年に合わせてプラットフォームがリニューアルされましたよね。

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2023年4月13日には、3周年記念イベントも行われました。

卯田

今は、Oasisというサービスを使っています。基本的な使い方は変わらないのですが、テーブルの数が増えました。

あと、これまではPCからしかログインできなかったのですが、アプリでもログインできるようになって。タブレットやスマホでみんコワにアクセスして、PCは作業に集中という使い方ができるようになりました。

私もリニューアル後、さらに使いやすくなったと感じました!

コロナ禍にオープンした「みんコワ」ですが、当時と比べると世の中の雰囲気は随分変わりました。

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卯田

そうですね、世の中は少しずつコロナ以前のオフラインな日常に戻っていくと思いますが、おひとりで仕事をしている人の総数はきっと変わらないでしょう。

今まで「オンラインのコワーキングスペースを使う」という選択肢がなかっただけで、コロナ禍をきっかけに生まれた「みんコワ」は引き続き、活用いただけると考えています。

遠藤

私にとっての「みんコワ」は、仕事の場というよりも交流の場のイメージが強いんですよね。オフラインな日常が戻っても、この場所が心の支えになる人はたくさんいると思います。

リモートワークしている方から主婦の方までいろんな人が、頑張って作業する場所、ちょっと息抜きできる場所、いつもの仲間と話をしてストレス発散できる場所、そんなあたたかい居場所がいつも変わらずに存在していてほしい……と、いち利用者として思う部分もありますね。

もっと、もっと「みんな」の場所へ

あたたかい居場所っていい言葉ですね。私は、小学生の放課後に遊んでいた「児童館」に似た懐かしさを感じました。オンラインサービスなんだけど、懐かしくてあたたかいコミュニティだなぁと。

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遠藤

「みんコワ」って、初めましての人は必ず入場口で使い方のアナウンスを運営協力者がしてくれます。一般的なコワーキングスペースと一緒で、使い方とかしっかりレクチャーしてくれるので安心です。

卯田

どんな使い方をしたいかって人それぞれじゃないですか。みんなに使ってもらいたいので、ルールもないし、無理強いもさせません。

お話ししたい人がいれば、「カメラ・マイクオン」の席に行けばいいし、集中して仕事がしたいなら「カメラ・マイクオフ」の席に。一緒にランチを食べたいならイベント席やオープンスペースに座っていると、自然とコミュニケーションがうまれています。

どんどん「みんな」のコワーキングスペースに進化しているんですね。最後に、おふたりが「みんコワ」に期待していることを教えてください。

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遠藤

プライベートとかオフラインで嫌なことがあっても、「みんコワ」にはいつもの仲間がいる、友達が待っていると思うと、ひとつの居場所になれる。いつまでも、そんな「みんコワ」であってほしいですね。

世の中が通常に戻ってもオンラインでも仲間のいる場所、誰かの新しい居場所になれたらいいなぁと思います。

卯田

交流大歓迎なコワーキングスペースなので、もっともっといろんな人に使ってもらいたいですね。在宅で働いている方、学生さん、地方の方、海外に住んでいる方……、どんな方でも大歓迎です。

ビジネスのきっかけや企業とのつながりもできる仕組みがあると、もっとコワーキングスペースらしくなるかな? と考えたりもしています。

今よりもっともっと「みんな」に使ってもらえる「みんコワ」に期待しています!

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2023年4月取材

取材・執筆:つるたちかこ(ノオト)
アイキャッチ制作:サンノ
編集:鬼頭佳代(ノオト)