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納豆300回とイノベーション | 八木橋パチの #混ぜなきゃ危険

WORK MILLをお読みの皆さん、はじめまして。<八木橋パチの #混ぜなきゃ危険> をスタートさせていただくパチです。よろしくお願いいたします。第一回ということで、まずは自己紹介をさせていただきます。でもその前に。

 

突然ですが、この3つの質問にYes/Noでお答えください。

 Q1. ここ1週間以内に、あまり知らない人と雑談した

 Q2. ここ1週間以内に、生まれて初めての体験をした

 Q3. ここ1週間以内に、納豆を300回以上かき回してから食べた

 

2つ以上Yesと答えたあなた、僕らはきっと仲間です!  あなたはすでに<#混ぜなきゃ危険>を理解し実践している人でしょう。Yesが1つだけだったあなた、あなたの活動や存在は、きっと社会を(あるいは腸内環境を?)より良い場所へと変化させていることでしょう。どうかぜひこれからも続けてください。そして1つもYesがなかったというあなた。おそらく、あなたが現在は一番のマジョリティーだと思います。…そうですよね… でもどうでしょう、これから一緒に混ぜてみませんか?

 

 

提供している最大の価値

改めまして、パチです。

 

私は現在、日本アイ・ビー・エムという外資系のIT企業で、AIやIoT、ブロックチェーンなどの先進アプリケーションを活用したMaaSやスマートシティ関連の推進プロジェクトなどを行っているコグニティブ・アプリケーションズという部門に所属し、コラボレーション・エナジャイザーという肩書で仕事をしています。記事の取材や編集、通訳や翻訳などの <言葉を使った仕事> が得意でして、去年はWORK MILLの前編集長で現エバンジェリスト遅野井さんにインタビューし、IBMのブログ上に記事を書いたりしています。

 

さて、連載のタイトルの <#混ぜなきゃ危険> ですが、皆さんはこの言葉から何を想像するでしょうか? 「なんのことだか見当もつかない」という方や、最初の3つの質問から何らかのイメージを膨らませているという方もいるのではないでしょうか。ひょっとしたら「 <混ぜるな危険> の間違いでは?」と思われている方もいるかもしれませんね。

 

先ほど、記事の作成や通訳・翻訳など <言葉を使った仕事> が自分の得意なことと書きました。でも実は、それは「自分の仕事を一番説明しやすいから」書いた言葉だったりします。実際には、私パチが従業員として日本アイ・ビー・エムに提供している最大の価値はそれではないと思っています。最大の価値は <混ぜること> であり、その実施方法として一番得意なのが言葉を使うやり方なのです。

 

 

「近づくな喋るな長時間共にするな」という社会の中で

<#混ぜなきゃ危険> は、私パチがここ10年ほどアイ・ビー・エムの社内外で行ってきた活動に対して、そしてそのベースにある危機感に対して、数年前につけたキャッチフレーズのようなものです。

 

社内外で行ってきた活動とは、具体的には、社内コミュニケーション・マネージャーやコンサルタントとしての活動だったり、社外での一般社団法人理事やワークショップ・ファシリテーターとしての活動だったりとさまざまですが、どれも「表面的なつながりを増やしているだけじゃヤバいでしょ!!」というものです。

 

「他人に近づくな、無闇に喋るな、長時間共にするな」という、COVID-19がもたらしたここ一年の激しい変化の前から、多くの人びとは、スマートフォンとオンラインメディアの隆盛による爆発的な情報量とアテンション(注意・関心)の奪い合いの場に放り出されています。

 

私たちはその圧倒的な量に、「興味の有無」「有用性の有無」「好き嫌い」の判別を短時間に下すことを求められ、その決定をベースに注意や関心がありそうなものばかりに曝される「フィルターバブル」とも呼ばれるアルゴリズムに取り囲まれています。そして気がつけば、アルゴリズムと忙しさの中で、私たちはどんどん細分化された小さな社会の中だけで過ごすようになっているのです…。

 

これ、やっぱりヤバいでしょ! 混ぜなきゃ危険です!!

 

…あれ? これまで書いてきたことだけだと、混ぜなければ一体何が危険なのか。それがどう危険なのか? そもそも混ぜるって何を混ぜるのか。そして混ぜるじゃなくて混ざるじゃダメか、どれだけ混ぜればいいのか…。こうしたことがきちんと説明できていませんね。

 

ちゃんと説明できるかな? トライしてみます。

 

 

人が混ざらないことの意味

まずは、何を混ぜなければ危険なのか。それはまずなによりも「人」です。先ほど、私たちは情報に対して瞬時に「興味」「有用性」「好き嫌い」を判断するようになったと書きましたが、同じことが人に対しても起きていると思うのです。初めて会って、ちょっと言葉を交わした印象で、「興味」「有用性」「好き嫌い」を人に対しても下していませんか?  そして「いいね!」を付けなかった相手とは離れてしまってはいませんか?

 

あるいは、ちょっと興味を惹かれる人がいて「今度改めてぜひ」なんて言いながらも、次々とやってくる別の情報やタスクにかまけて、気がつけばそのまんまになって距離ができてしまっているとかとか。一度距離を取ってしまうと、その人が発する情報が届くのはまれです。混ざるどころか重なり合う部分も接している表面もないので、その人の内側はおろか外側で何かが起こってもこちらには伝わってきません。

 

「それの何が問題なのか?」 −− いろいろな側面から語ることができますが、今回は <はたらくを考える> メディアWORK MILLらしく、職場や組織、企業という視点から考えてみます。

 

人が混ざらないということは、考え方や意見が混ざらないということです。考え方や意見が混ざらないということは、すごく単純化して書けば、イノベーションが起こる可能性がどんどん減っていくということです。イノベーションの捉え方や定義はいろいろありますが、イノベーションという言葉を世に広めたオーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーターの「それまでとは異なる仕方による新結合」、そして『イノベーションのジレンマ』で世界を席巻したクレイトン・クリステンセンの「一見、関係なさそうな事柄を結びつける思考」というこの2つが、最も多くの人に信任されているものでしょう。

 

「イノベーションがなぜ大切か」 −− WORK MILLの読者の多くは、日々新しいビジネスの芽や、新しい視点を追い求められている方たちでしょう。これ以上書く必要はないですね。混ぜなければ一体何が危険にさらされるのか。それは、あなたの所属している組織や企業であり業界です。

 

ところで、もしあなたが納豆をこれまであまり混ぜずに食べていたなら、次回は騙されたと思って300回かき混ぜてみて欲しいのです。回数には諸説ありますが、個人的にはやはり300回がベストだと思います。なお、これはひきわり納豆でも、卵の黄身を投入したときでも変わりません。異論がある方、きっといらっしゃいますよね? ぜひぜひ雑談がてら、お気に入りの食べ方を 。

 

なお、次回は <民主主義は雑談から> と題して、加速する格差社会、フィルターバブルとエコーチェンバー、そして結論よりもプロセスを! なんて話をお伝えさせていただこうと思っています。

 

それではまた。Happy Collaboration!

著者プロフィール

八木橋パチ(やぎはしぱち)

日本アイ・ビー・エム株式会社にて先進テクノロジーの社会実装を推進するコラボレーション・エナジャイザー。<#混ぜなきゃ危険> をキーワードに、人や組織をつなぎ、混ぜ合わせている。2017年、日本IBM創立80周年記念プログラム「Wild Duck Campaign - 野鴨社員 総選挙(日本で最もワイルドなIBM社員選出コンテスト)」にて優勝。2018年まで社内IT部門にて日本におけるソーシャル・ビジネス/コラボレーション・ツールの展開・推進を担当。 twitter.com/dubbedpachi

 

2021年5月26日更新

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