「ザ・オカムラ座」は第二章へ! 次なるステージに向けて始まったのは、廃材を活用した楽器づくり?
2025年に開催された大阪・関西万博。株式会社オカムラは、オーディションで選ばれた12人の社員による劇団「ザ・オカムラ座」を結成し、パフォーマンスを行いました。
実は「ザ・オカムラ座」の活動は終わっていません。2026年夏ごろから、次なるプロジェクトが少しずつ動き始めているそう! なにやら廃材を使って楽器を作っていると聞き、神奈川県横須賀市にある株式会社オカムラ 追浜事業所へ伺いました。
お話を伺ったのは、WORK MILL 共創ディレクターで「ザ・オカムラ座」プロデューサーの岡本栄理さん、そして楽器づくりを進めるデザイン本部の渡邉等子さん、生産技術課の釜﨑大樹さんです。3人の話から、仕事が少し「自分ごと」に近づく瞬間をのぞいてみましょう。
ザ・オカムラ座は、次なる挑戦に向けての準備期間へ
万博でも大盛況だった「ザ・オカムラ座」に新たな動きがあると聞き、追浜事業所にやってきました。




これは一体なんでしょうか?


岡本
「ザ・オカムラ座」として、今はこちらの工場で出た廃材を使って、楽器を作っています!

劇団員のみなさんが、楽器を作っているということでしょうか?


岡本
いえ、新しくメンバーを募集しました。
「ザ・オカムラ座」はあくまでも、全事業部を横断して高い目標にチャレンジする社内共創プラットフォームなんです。
そこで、「ものづくり」と「共創」をテーマにした挑戦として、廃材を活用した楽器づくりのプロジェクトを新たに始めました。
ザ・オカムラ座 第二章の幕開けですね!


岡本
そうですね! どのようなプロジェクトにおいても2回目は、今後を占うものすごく大事な通過点ですよね。
最初に披露した演劇がド派手にスタートしたので、「ザ・オカムラ座」=「演劇」のイメージを持つ社員も多いんです。
これからは、新しい活動を通じてそのイメージを覆していきたいと思っています。
第二章には、どのようなメンバーが関わっているのでしょうか?


岡本
今は関東と関西の2チームに分かれて、合計10名ほどが参加中です。デザインチームと製作チームを構成し、違う職能を持った人たちがアイデアを出し合って進めています。
所属長から指名を受けた音楽好きなメンバーが集まっているので、このプロジェクトで初めて一緒に仕事をするというメンバーも少なくありません。

ものづくりの現場で活かしてきた知識や経験を、新たな社内プロジェクトで発揮できるんですね!
具体的にはどんな楽器を?


岡本
関東では弦楽器と電子楽器、関西では鉄琴やドラムなどパーカッションという全く違う楽器を作っていて。
完成したら演奏した動画を撮影して「ザ・オカムラ座」の活動として発信する予定です!
楽しみです!



岡本
通常の仕事では「これをしなければいけない」という決められたタスクを消化していくシチュエーションが多いと思うんです。
でも、新しいものを生み出す、かつ参加者が限られたこの場では、「その人じゃないとできない」という、メンバーが自分事にならざるを得ない場面もたくさん出てくる。
そうすると、「こういうふうにやってみたい」という自分の思いをベースにしてプロジェクトが自然と進んでいきます。


岡本
仕事の進め方には、
・自ら進んで取り組める「自燃性」
・周りからの刺激で力が湧いてくる「可燃性」
・一向にやる気が湧いてこない「不燃性」
の3つのタイプがあると思います。
このプロジェクトを通じて「可燃性」だった人が「自燃性」へとタイプが変わっていくケースもあるのかな? と感じているところです。
楽器づくりは初めて。でも楽しい!
ここからは「ザ・オカムラ座」の関東チームで楽器づくりを行っているCMFデザイナーの渡邉等子さんと、生産技術課で椅子の試作や加工に携わる釜﨑大樹さんにお話を伺います。
まずは、現在のお仕事について教えてください。


渡邉
中途入社2年目の渡邉です。
前職は塗料メーカーで「新しい色」を作る仕事をしていました。オカムラでは、CMFデザイナー(※)として働いています。
※:CMFデザイナーとは、Color・Material・Finishの3要素を専門に製品の表面、見た目をデザインする仕事のこと。


釜﨑
新卒入社6年目の釜﨑です。
生産技術課では、新商品の試作や現場で使う治具(ジグ)の製作、金型のメンテナンスなど、加工屋さんのような仕事をしています。

楽器を作るのは……もちろん初めてですよね?


渡邉
はい。私は趣味でバイオリンを弾いていて、オーケストラにも参加しているんです。
なので、演奏することは好きですが、楽器を作ることは考えてもいなかったので、声をかけてもらった時は驚きました。

釜﨑
僕もピアノとベースを少しやっています。
もともとバイクをカスタムしたり、お弁当を作ったり、ものづくりが大好きでしたが……、楽器づくりは初めてでしたね(笑)。
最初に声がかかった時はどんなお気持ちでしたか?


渡邉
私はまだ転職2年目で他部署の方との関わりも薄かったので、社内共創をしていくことに対してドキドキとワクワク、両方の気持ちがありました。
楽器づくりも未経験なので、「どのような音楽をやるのか?」「どのような楽器が必要なのか?」などを分析しつつ、とりあえず「やってみよう!」という精神で飛び込んだんです。

釜﨑
最初は「楽器好き?」と声をかけてもらって……(笑)。
流されるように仲間入りしたのですが、とっても楽しいです。改めて、ものづくりの楽しさを感じています。
「やりたい人」の気持ちに乗っかる心地よさ
関東チームは、弦楽器と電子楽器を製作しているとのことですが、弦楽器にはどのような経緯で辿り着いたのでしょうか?


渡邉
私がバイオリンをやっていたこともありますが、デザイナーの戸塚さんのアイデアで「メロディを奏でられる楽器がいいよね」と弦楽器に決まったんです。


渡邉
最初は「やってみよう!」という気持ちでした。そうしたら、「やりたい人」の気持ちに乗っかってものづくりしていくことの心地よさがあって……。
巻き込まれていく楽しさみたいなものは、ここに参加したからこそ得られたことだな、と感じています。

釜﨑
他の事業部の仕事ぶりを目の前で見られるのも、貴重な機会ですよね。

渡邉
本当ですね。
他部署の方とも楽器をハブにしてつながることができ、楽しい時間です。

釜﨑
僕らは普段、与えられた図面を見て製品を作り上げていましたが、今回のプロジェクトで一から図面を描くことの凄さを再認識したんです。


釜﨑
だから、通常業務でもただ図面通りに作るだけでなく、デザインの背景やその先のことも考えて作業したい。これは、「ザ・オカムラ座」に参加したからこそ生まれた感情ですね。
活動を通じてお二人の中で心境の変化があったのですね。


釜﨑
そうですね。
楽器の構造を考えることで視野が広がり、加工技術においても、今後に活かせる学びがたくさん得られたと思っています。

渡邉
私は、仕事への向き合い方、モチベーションが変化したかもしれません。
会社員として働いていると、どうしても上から降ってくる仕事を“こなす”ことを重視しがちになってしまう時があるんです。


渡邉
でも、「自分が中心になって進めていくプロジェクトってこんなに楽しいんだ!」と感じて。
今の仕事も自分ごととして捉えて、周りを巻き込んでいく。これからはそんな働き方をしていきたいな、と思っています。
社内共創で、仕事への視座に変化が!
ここでプロジェクトが終わってしまうのがもったいないくらいですね!


渡邉
私たちは楽器づくりを担当しますが、このプロジェクトが次の人たちに引き継がれて、演奏するフェーズに発展するかもしれないと思うとワクワクします。

釜﨑
たまたま縁があって楽器を作ることになりましたが、自分の中で“できること”の範囲が大きく広がったように感じています。
これまで、廃材は「ただのゴミ」としか見えていなかったのですが、今は「もしかして〇〇に使えるかも?」と思うようになってしまったので(笑)。


渡邉
素材を見る目が変わりますよね!
プロトタイプでは、パイプに弦を張るだけの設計をしていたのですが、それだと音が響かなくて悩んでいたんです。
そこで弦楽器をよく観察してみたところ、空洞があることに気づいて、一斗缶の上にパイプを置いただけで、音がきれいに響くようになりました。

釜﨑
あらゆるトライアンドエラーを体験できたというか……。
より良いものを生み出していく過程からも、学ぶことが多かったです。


渡邉
「楽器がどのように音を生み出しているのか?」の仕組みを考えていくことができたのも、発想の転換ができて勉強になったところでした。
普段やっているデザインの仕事にも活かしていければと思います。
お二人から次々と素敵な言葉が出てきますね。
最後にこれからやってみたいことをお聞かせください。


釜﨑
今回の活動を通じて、デザインへの理解も深まりました。
これからはただ作るだけではなく、デザイン本部と共創しながらより良いものづくりができる体制にしていきたいなと考えているところです。

渡邉
部門を横断していろんな人と関わることができたことで、私自身も「もっと提案できる人になろう」とすごく意識するようになりました。
これから通常業務に戻っても、「ザ・オカムラ座」の活動で得た推進力を活かしていければと思います。

釜﨑
あと、違う楽器も作ってみたいですね!
弦楽器を作っていく中で、ゴミとしか思えていなかった廃材が生まれ変わっていく感覚を感じられて、応用すれば他にも使えそうなものがいっぱいあると思ったんです。

2026年10月取材
取材・執筆=つるたちかこ
写真=栃久保誠
編集=鬼頭佳代/ノオト


