企業に所属する実践者から学ぶ、これからの副業・兼業のかたち
新型コロナウイルス感染症拡大から約1年が経過し、このコロナ禍をキッカケに私たちの働き方や働く場に対する価値観が大きく変化しました。そして、世界中の企業や人が従来のワークスタイルやオフィスのあり方を見直し始めています。その一つとして、副業・兼業があげられます。
副業・兼業と一言でいっても、目的は様々で単純に「お金を稼ぐため」に限らず、パーソル研究所の副業の実態・意識調査によると自己実現やスキルアップなど目的は様々です。WORK MILLでは、新型コロナウイルス感染症拡大前から企業に勤めながら「もう一つの顔」をもち、様々な活動を行っている方々を取材してきました。このような実践者の取り組みは、これからのポストコロナにおける働き方のヒントになるのではないでしょうか。
副業・兼業がもたらすメリットとは
まずは、従業員が副業・兼業を行うことでもたらされるメリットは何かについてご紹介します。
副業元年といわれる2018年に実施したWork in Life Labo.の調査では、多様な働き方(働く時間、働く場所、副業・複業)を進めて行くことで、個人の選択肢が拡がり、それによって仕事への満足感やエンゲイジメント、ウェルビーイングが向上する可能性が高いこと、心理的安全性も確保されている状態になると言えそうな結果が出ています。このことからも、副業など働き方の自由度が高いと従業員が感じることは、従業員にも企業にも望ましい影響があるのではないかと考えられます。
ここからは、企業に勤めながら「もう一つの顔」を持つ方々の紹介です(所属等は取材時のものとなります)。
自分がやりたかったことを実現
企業でPR職に就きながら、映画監督を務める穐山茉由さん。
女性として“結婚する幸せ”みたいな、選択肢を絶対に選ばなきゃいけないわけでもないなと思い、肩の荷がおりたことをきっかけに、「今の年齢からでも自分の好きなことを始めてみてもいいかなと。新しいことをやってみよう」と思い、映画監督への道にも進まれています。
社外活動を、社内のやりたい仕事に繋げる
企業でコーポレートブランディング部に所属しながら、社会課題を料理の観点から捉えた企画を生み出す Creative Cooking Battle 代表も務める横尾祐介さん。
社外の活動で得た知見やノウハウを会社に還元し、やりたい仕事に繋げるスタイルで仕事をされています。「自分のやりたいこと」が社内でできなくても、まずは社外に出て、個人でできる範囲で取り組んでみる。社外活動で得た知見やノウハウを社内に持ち帰ることで、会社からも価値を認識され、やりたい仕事に繋げられるようです。
ゆるいつながりをつくるコミュニティ活動
企業でブランド・デザイン戦略統括部に所属しながら、般社団法人INTO THE FABRIC 代表理事 100人カイギfounder / 見届人を務める高嶋大介さん。
「普段働いていると、自分の会社以外との接点ってほとんどない。意外とみんな自分の働いている会社の人も知らないし、ましてや働いている地域、暮らしている地域のことを知らないのではないかと感じた。」ことをきっかけに「人の話を聞ける場」を作ろうと思いコミュニティ活動をされています。
最後は、研究者の視点としてデジタルネイティブ世代についてお話をうかがった際の、実践女子大学准教授の松下先生に取材した際の記事を紹介します。
「あれも、これも」やらないリスクの方が高い
「『あれかこれか』じゃなくて『あれもこれも』やるほうがいいんですよ。それが、自分の希少価値を高めることにもつながる。どうしても、『始めるからにはちゃんと準備しないと』とか、『本業を極めるまでは他のことは始められない』とか、物事の順序を重要視しがちですけど、今はとにかく始めてみてフィードバックを受けながら精度を高めていくほうがいい。やらないリスクのほうが高いんです。」と話されています。
この記事はデジタルネイティブ世代の価値観のインタビューからの言葉ですが、世代関係なく言えることではないでしょうか。