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慣れない在宅勤務 どんなことが起こっているのか緊急調査 ー コミュニケーションと備え編

新型コロナウイルス感染症対策がとられる中、外出自粛、テレワーク(在宅勤務) の徹底が要請されています。テレワーク採用企業が13.9%(2017 年、総務省情報通信白書)であった状況を踏まえると、多くの方が慣れない環境で働かざるを得ない事態になっているのではないでしょうか。

オカムラは2017 年のテレワークデイズ参加を機に、テレワークを実施した際に起こる様々な事象を『柔軟な働き方の効果検証報告書』として公開しています。今回は、新型コロナ感染症対策がとられる中で起きていることをお伝えすることを目的におこなった調査の結果を、3回に分けてお届けします。第1回目は今回のテレワークの特徴と環境、仕事スイッチ編、第2回目は家族・子ども編をお届けしました。第3回目の今回はコミュニケーションと備え編です。

コミュニケーションに起きている変化

前回は在宅勤務をする際に家族や子どもとどのような距離感で働いているか、働きたいかについての調査結果をご紹介しました。そのような家庭内でのコミュニケーションや距離とともに、今回、強制的に在宅勤務をすることになった影響は仕事においてのコミュニケーションにもあらわれてきているはずです。在宅勤務をするようになって、会議の回数に変化があったかたずねたところ、半数以上の人が「減少した」と答えています(下図)。特に3月25日に東京都の小池都知事が会見を開いて以降、急激に会議が減ったということがわかっています。

続いて、ちょっとした立ち話や、ランチの時の雑談などインフォーマルコミュニケーションの変化についてたずねました。その結果、会議が減ったと答えた人の割合よりもはるか多い7割弱の人が「減少した」と答えています(下図)。テレワークによるインフォーマルコミュニケーションの減少は、今回に限ったことではなく、過去におこなわれた各種調査、オカムラの分析からもわかっていいましたが、今回の在宅勤務実施においても同様の傾向が強く表れていることがわかります。

インフォーマルコミュニケーションは職場の潤滑油と言われ、仕事と直接関係なくても、チームメンバーの状況を共有したり、安心して仕事を進めるために必要だと考えられています。在宅勤務をすることによって、そういった効果が減少しているのであれば、代替手段を検討するなど、それを補完するような方策を考える必要があるでしょう。

オンラインのインタラクティブな活動が活発化

では、コミュニケーションをとるための手段(ツール)の利用に変化はあったのでしょうか。在宅勤務をすることで利用が増加したツールについて聞いたところ、Microsoft TeamsやZOOMといったオンラインでインタラクティブな活動をおこなうためのツールの利用が顕著に高まっていることがわかりました(下図)。特にTeamsについては、以前からグループ機能は活発に使われていましたが、会議やチャットといった機能はあまり知られていませんでした。今回の在宅勤務をきっかけに多くの人が活用するようになったことがわかります。

※オカムラでは主に社内会議はMicrosoft Teams、社外との会議はZOOMを用いておこなっています。

一方で、在宅勤務を始めたことによって利用が減少したツールについても聞いてみました。結果としてはそれほど高い値にはなりませんでしたが、「電話(通話)」「電子メール」の順で減少していることがわかりました(下図)。在宅勤務をする際、自宅にいる人に電話をするのをためらうという傾向は以前から見られていました。また、電子メールのように送って、返信を待つという非同期のコミュニケーションが減り、チャットなどすぐに反応がもらえる手段に置き換わっているのではないかと考えられます。

電話やオンライン会議など音声を伴うコミュニケーションについては、前回の家族・子ども編でも紹介した通り、かなり周囲に気を遣って行っている人が多いのが現状です。そうした音声をともなう手段が文字でやり取りされる手段に置き換わるということも起きているのでしょう。

こうした事態に向けての備えとは

今回の新型コロナウイルス感染症は、じわじわと危機感が増してくる災害でしたが、急遽在宅勤務を始められた方も多かったのではないでしょうか。また、台風のように数日で過ぎてしまうものでもなく、長期戦を余儀なくされています。

では、こうした状況に対して、準備しておくべきだったと感じていることは何なのでしょうか。もっとも多かったのは「Teams やZOOM などコミュニケーションツールを使う経験値を上げる」でした(下図)。次点として「モバイルで働けるよう携帯電話やノートPC を配布する」があげられているところからも、仕事に直結し、障害が起こると被害が多いテクニカルな課題を解決しておくべきだと感じた人が多くいることがわかります。

また、手前味噌な話ですが、2017年から取り組んでいるテレワークデイ(ズ)の経験が活かされたかをたずねたところ、約7割の人が「役に立った」と答えています(下図)。みんなでテレワークをするなんて面倒と感じられた方でも、いざ強制的に在宅勤務をしなければならない状況になった際、対応の方法がわかるなど、一定の効果があったという意見も寄せられています。

小さな具体的な課題から解決

先ほど、在宅勤務をすることによってインフォーマルコミュニケーションが減少するという結果をご紹介しましたが、私たちのチームでは終業の連絡をチャットするときに、その日にあった面白いことや悩みを書き込んだり、オンライン会議の後に5分くらい雑談をする時間を作っています。参加は強制ではないのですが、チームメンバーの多くがいろいろな話をしてくれます。また、最近はTeamsやZOOMを使い込なすノウハウも身に着けて、ごく自然にオンライン会議やチャットをおこなうようになりました。

在宅勤務の長期化に伴い、様々な経験したことのない課題が発生していますが、全部を一気に解決しようとするのではなく、目の前の少しの努力や工夫で解決していける課題をつぶしていくことが大事です。個人が得たノウハウをチームで共有し、組織で共有する。そんな波及効果があらわれてくるといいですね。


Teams、Microsoft Teamsは、Microsoft Corporationおよび日本マイクロソフト株式会社の商標登録です。
ZOOMはZOOM Vide Communicatiions社の商標登録です。
LINEはLINE株式会社の商標登録です。
FacebookおよびFacebok MessengerはFacebook Japan株式会社の商標登録です。

調査概要
調査期間:2020年4 月5 日~8日
調査方法:Web アンケート
回答者 :オカムラ社員 162 名(デザイナー、研究職、コンサルタント、事務職など)
集計方法:単純集計

2020年4月30日更新

テキスト: 池田晃一(株式会社オカムラ)
調査:オカムラ ワークデザイン研究所 2020年
データ参照元:新型コロナウイルス感染症対策としての在宅勤務調査 速報版