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慣れない在宅勤務 どんなことが起こっているのか緊急調査 ー 家族・子ども編

新型コロナウイルス感染症対策がとられる中、外出自粛、テレワーク(在宅勤務) の徹底が要請されています。テレワーク採用企業が13.9%(2017年、総務省情報通信白書)であった状況を踏まえると、多くの方が慣れない環境で働かざるを得ない事態になっているのではないでしょうか。 

オカムラは2017年のテレワークデイズ参加を機に、テレワークを実施した際に起こる様々な事象を『柔軟な働き方の効果検証報告書』として公開しています。新型コロナ感染症対策がとられる中で起きていることをお伝えすることを目的におこなった調査の結果を、3回に分けてお届けします。第1回目は今回のテレワークの特徴、「環境、仕事スイッチ編」をお届けしました。第2回目の今回は「家族・子ども編」です。

家族(同居人)も在宅勤務する状況

前回の記事の中で新型コロナウイルス感染症対策の在宅勤務の特徴のひとつとして、家族(同居人)がいる状況で働く、そして子どもがいる状況で働くといったものをあげました。今回はそういった状況下で起こっていることについて調査結果をご紹介します。

まず、家族(同居人)がいる状況で働いているかたずねた際の回答は下図のようになっています。在宅勤務をしている、していないを問わず家族(同居人)がいる状況で働いたという人が半数以上だったことがわかります。中でも25%以上の人は家族(同居人)も在宅勤務で働いていました。

今まで在宅勤務というと家族(同居人)が働いている状況は少なかったのではないでしょうか。そういった方々が家族(同居人)とどれくらいの距離感で仕事をしているのかをたずねた結果が下図です。一番多かったのは、「まったく離れた部屋で」と答えた人で約4割弱を占めています。次いで「同じ部屋、同じテーブルで」と答えた人が3割程度います。距離感については、自宅の間取りや、お互いの仕事内容などによって変わってきますが、前回働くための環境について聞いた際に「個室」を選んだ人の割合と「離れた部屋で」と答えた人の割合が近いことから、自分用の部屋がある人はそこを使って働く傾向があるのではないかと考えられます。

家族(同居人)が一緒に働いている状態で起こりうる問題を聞いたところ、一番多かったのは「Web会議や電話など音に関する問題」です(下図)。特に個室で働いていない場合にはいきなりコミュニケーションが始まるので、部屋を移動したり、距離をとったりと工夫が必要です。次いであげられたのが「食事や家事など生活に関する問題」です。どちらも働いているため、昼食や夕食の準備を誰がするか、洗濯物を干したり取り込んだりと、普段は発生しない作業に戸惑っていることがわかります。一方で「特に問題を感じない」という人も25%います。

では家族(同居人)も在宅勤務をしている場合、理想の距離感はどのくらいなのでしょうか。一番多かったのは「家の中のまったく離れた部屋で」と答えた人で4割いました(下図)。普段はお互い働く姿を知りませんが、在宅勤務をするとどうしても仕事をしている様子が相手にわかってしまいます。また、セキュリティの関係でWeb会議や電話の内容を聞かれてはいけない人もいますし、書類を厳密に管理する必要がある人もいらっしゃるでしょう。気配が感じられるような隣の部屋くらいの距離とあわせると6割の人が違う空間で働きたいと答えています。

元気な子どもがいる状況で働く

それでは子どもと働く状況についても見ていきましょう。「子どもがいる状況で働く」と聞くと多くの場合、病気やけがをした子どもを看病するという状況だったと思います。しかし、今回は在宅勤務が推奨されていることに加え、公立学校(小~高校)の臨時休校要請が出され、子どもが在宅の状態で働くということが起こっています。通常であれば保育園や学童保育に預けて働くということもできますが、感染を心配して通わせたくないと考える保護者も多いと聞きます。また、通常幼稚園に通っていたり、学童保育を利用していない方も一緒に過ごさざるを得ません。

「子どもがいる状況で仕事をした」と答えた人の割合は、今回調査対象となったオカムラの社員の中では23%でした(下図)。「子どもがいる状況では仕事をしなかった」と答えた人が10%弱ですので対象となる子どもを育てている7割くらいの方は子どもがいる状況で働かれたことがわかります。

では、そういった状況になったとき、どんなことが起きていたのか聞いたところ、一番多かったのは「多少育児に手間がかかったが、問題はなかった」で3割弱でした(下図)。一方で16%の人が「育児の負担が大きく、困難なことがあった」と答えています。家庭によって事情は異なり、ひとりで育児、家事、仕事をおこなういわゆるワンオペ状態の方や、小さい子どもを複数人育てている方は負担が大きくなっていたと考えられます。

緊急事態とはいえ、特定の方に執務の継続が困難なほどの負担がかかるという状況は解決していかなければいけません。周囲のメンバーがチャットなどで相談にのったり、仕事を無理に催促しないなど、思いやりをもって接していくことが必要です。

では、元気な子どもが家にいる状況で、どのような距離感を保ち働くことが望まれるのでしょうか。子どもとの適切な距離感として一番多くあげられたのが「家の中に子どもはいるが別室など気にならない環境で」で半数以上の人がそう答えています(下図)。当然、小さい子どもの場合には心配ですので、「子どもに目が届く状況(同じ空間)」と答えられている人も2割強います。

適切な距離感と息抜き

「家族(同居人)と働く」「元気な子どもがいる状況で」という状況にフォーカスしてお届けした第2回ですが、ほんの数か月前まではこんな事態が起こるとは(私も含め)多くの方は考えていなかったと思います。じわじわと危機感が高まり、そして収束が見えない状況で外出自粛の中、働く、暮らす。そんな時に大事なのは本文中でも取り上げましたが、適切な距離感がとれるよう意識するということです。

もちろん間取りや、子どもの年齢、介護が必要なご家族がいることなどによって調節が難しい場合もあるかと思います。そんな時にはひとりになる時間、気分転換をする頻度などを意識してみてください。在宅勤務の良さは、節度の範囲内で散歩したり、お茶を飲んだり、昼寝をしたりできることです。家事をして気分転換してもいいでしょう。困難な状況の中に楽しみや息抜きを見つけて過ごしていけたらと思います。

調査概要
調査期間:2020年4 月5 日~8日
調査方法:Web アンケート
回答者 :オカムラ社員 162 名(デザイナー、研究職、コンサルタント、事務職など)
集計方法:単純集計

2020年4月24日更新

テキスト: 池田晃一(株式会社オカムラ)
調査:オカムラ ワークデザイン研究所 2020年
データ参照元:新型コロナウイルス感染症対策としての在宅勤務調査 速報版