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「やらなかった後悔」は厄介な存在になる 過去の失敗に囚われるのをやめよう

仕事でもプライベートでも、やりたいことは山のようにある。同時に、周りからのいろいろな頼まれごとにも向き合っていくと、いつの間にか予定はいつもパンパンに。この働き方、暮らし方は思っていたのと、ちょっと違う気がする……。そんなときに必要なのは、こだわりや常識、思い込みを手放すことなのかもしれません。連載「やめるための言葉」では、圓窓代表取締役・澤円さんと一緒に「やめること」について考えていきます。

何をもって「失敗」だったのか?

これをお読みくださっているそこのあなた!

今までに失敗をしたことはありますか?
仕事で大失敗をして、顧客やマネージャー、同僚にこっぴどく怒られたことはありますか?

おそらく、ほとんどの方は何らかの失敗をしてしまった経験をお持ちでしょう。

ボク自身も、めちゃくちゃ多くの失敗を繰り返していました。ADHD特性を持っているボクとしては、うまくいく方がおかしいというレベルで、ほぼ失敗だらけの人生を歩んでいます。

失敗というのは、何かしらの行動の結果として発生してしまうことがほとんどでしょう。さて、では何をもって我々は「失敗した」と認識したのでしょうか?

手順が決まっていて、その通りにやってもうまくいかなかったなら、それは『手順の問題』であり、自分の失敗とは言えません。自分で作った手順なら別ですが、そうでなければ自責と考える必要はないでしょう。

ただ、ふとした気のゆるみや思い込み、もともとの勘違いなどによって期待された結果につながらなかったときに「失敗」という言葉が使われるのではないでしょうか。

確かにそれは失敗かもしれませんが、これはまぁ人間なので仕方がないことです。ボクなんていつでも気が緩んでるし、思い込みひどいし、勘違いしてないことの方が少ないじゃないかっていうくらいのアホなので、日々失敗のコレクションを増やし続けています。ほんとどーにかならんのかこれ。

偉人たちは失敗に対して前向きな言葉を残している

その一方で、世の中には失敗を恐れるなという言葉に満ち溢れています。

「私は9,000本以上のシュートを外し、300回以上の試合に負けた。26回、ゲームウィニングショットを任されて失敗した。私は人生で何度も何度も失敗してきた。だから成功したんだ」
マイケル・ジョーダン(バスケットボール界のスーパースター)

「成功とは、熱意を失わずに失敗に次ぐ失敗を繰り返すことである」
ウィンストン・チャーチル(イギリスの第61代および第63代首相)

「何かを本当にやり遂げたいなら、失敗を恐れるな」
スティーブ・ジョブズ(Apple創業者)

うーん、何かを成し遂げたいなら、失敗は避けられないみたいです。困りましたねぇ。

失敗をまったく気にしないよ、というマインドをお持ちの方もおられるでしょう。でも、ボクの人生経験から推察するに、そのように考えられる人って結構少数派で、多くの人は失敗したことを後悔し、その失敗体験に恐れを抱いてしまって、慎重さを優先するようになりがちです。

「失敗から学ぶ」という観点で言えば、慎重になるのは悪いことではありません。いわゆる「石橋をたたいて渡る」というやつですね。

慎重さは、無駄な失敗を減らすためには不可欠な考え方ではあります。しかし、慎重さが度を越えてしまうと、『失敗を避けるために何もしない』という選択肢を取ってしまいがちになります。

失敗で一番厄介なパターン

多くの人の記憶に残っている失敗は、「何かを実行した結果」ではないでしょうか。

「何かをやった失敗」に囚われて、次のチャレンジをするのは、めちゃくちゃ勇気がいることですよね。ボク自身、できれば失敗したことをもう一度やるのは徹底的に避けたいと思うタイプです。

また失敗して凹むことを考えたら、「やらなきゃよかった」って思うことはほぼ確定事項だったりしますからね。でも、「後悔」という言葉でも、いくつかの格言があります。

「20年後、あなたはやったことよりも、やらなかったことに失望するだろう」
マーク・トウェイン(「トム・ソーヤの冒険」作者)

「人生で最も苦しいことは、やったことの後悔ではなく、やらなかったことの後悔である」
パウロ・コエーリョ(ブラジル出身の作家)

「あの時にやらなくてよかったな」と思えることなら、全く問題ないでしょう。でも、それはその時点で「将来そうなる」とは予想なんてできないんですよね。

その一方で、「あの時やっておけば……」と思い続けてしまう類の「やらなかった後悔」は、のちに成仏させることがなかなかできない厄介な存在です。

やった後悔は、その反省を生かして別の形で挑戦しなおせます。でも、やらなかった後悔は、時間の不可逆性がしっかりと立ちはだかって、小さくなることよりも大きくなってしまうことの方が多いでしょう。

今回の記事では、歴史に名を遺した人たちを何人か挙げさせてもらいました。

そして、この偉人たちに共通するのは「チャレンジした結果の失敗の上に、成功という金字塔を立てている」ということです。

別に「歴史に名を残しましょう」とあおっているわけではなく、偉人たちの考え方を取り入れることは、自分の人生を豊かにするためにも非常に有用であるという話をしたいのです。

過去の失敗に囚われてしまうのは、人間にとってはある意味生存戦略として必要な場面もあります。しかし、囚われてしまった結果として、チャレンジをしないという選択をすると、回収のできない後悔がずっと残ってしまうリスクに化けるのです。

ボクも失敗はとにかくしたくはないですけれど、まぁとりあえず今日もびくびくしながらでも勇気を振り絞って行動をしていこうじゃありませんか。

アイキャッチ制作=サンノ
編集=ノオト