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仕事の引き受けすぎをやめよう 「とりあえず」の仕事は「保留」に(澤円)

仕事でもプライベートでも、やりたいことは山のようにある。同時に、周りからのいろいろな頼まれごとにも向き合っていくと、いつの間にか予定はいつもパンパンに。この働き方、暮らし方は思っていたのと、ちょっと違う気がする……。そんなときに必要なのは、こだわりや常識、思い込みを手放すことなのかもしれません。連載「やめるための言葉」では、圓窓代表取締役・澤円さんと一緒に「やめること」について考えていきます。

忙しさはどこから来るのか

皆さん、忙しいですか?
仕事に追われまくっていますか?
時間が取れなくて毎日ひーひー言ってますか?

でも、この記事に目を留めてくださって、本当にありがとうございます。しんどいあなたの役に立つ話をしたいと思います。

忙しいって、なんなんでしょう? ChatGPTさんにお尋ねしてみました。

「忙しい」という言葉は、多くの活動や仕事があり、それらを処理するのにかなりの時間やエネルギーが必要である状態を指します。

つまり、時間的に余裕がなく、継続的に多くのタスクに取り組んでいることを意味します。

この言葉は、仕事だけでなく、学校、家庭の責任、社会活動など、生活のあらゆる側面に適用されることがあります。

忙しいと感じる具体的な理由や状況は人それぞれ異なりますが、一般的には時間管理や優先順位付けが求められる状況を示します。

ですよね~~、という回答でした(笑)。

でも、ここにはすごく大事なキーワードがいくつもありますね。その一つが「優先順位付け」です。日本は、いわゆる「ジョブ・ディスクリプション」が明確でない企業や組織が多く存在します。

そのため、「自分の仕事はここまで」と言い切ることができず、「どこまでやればいいのか」が明確ではないパターンが多く存在します。どんな仕事にせよ「足りない」だと誰かに文句言われるかもな……と思うと、手を抜くわけにもいかなくなり、ついつい「やりすぎ」の領域にまで踏み込んでしまう。

そして、時間というリソースが消費されることにより、「忙しい」という状態が出来上がるわけです。優先順位付け、と一言で言っても、とにかく「明確な単位」がないとあれもこれもという状態になってしまい、結果的に時間が足りなくなるという状況に追い込まれがちです。

そこには、ボクが「悪魔の言葉」と呼んでいるヤバいフレーズが時折顔を出します。それは……?

悪魔の言葉「とりあえず」

「使うかどうかわからないけれど、とりあえず資料は作っておこう」

「必須かどうかはわからないけれど、とりあえず彼もミーティングに呼ぼう」

「あ、XXさん、あのデータとりあえずまとめておいて」

こんなやりとり、聞いたことありませんか? 「とりあえず」って、なんだか気軽に使いがちなのですが、これはめちゃくちゃ悪魔的なフレーズだとボクは思っています。

というのも、とりあえず何かをすれば、確実に時間が浪費されるわけです。それも、「重要かどうかはわからん」「必須かどうかは知らん」という状況の中で「とりあえずやる」という判断をし続けてしまうと、本当に重要な案件が後で出てきたときに、割り当てる時間やリソースが残っていない可能性があります。

なので、「とりあえず」という言葉が付くものについては、片っ端から優先度を下げてしまうことをボクはお勧めしています。

これは、自分が自分に課す仕事でもそうですし、他の誰かに依頼する仕事もそうです。「とりあえず」というフレーズが出てきたら、「いったん保留」という脳内のフォルダに入れておくとよいでしょう。本当に必要になった場面で、引っ張り出して対応すればいいのですから。

ちなみに、この「とりあえず」で必ず行動したほうがいい場合もあります。それは「新しいチャレンジ」です。新しいチャレンジは過去に情報がないことが前提ですから、「やってみて学ぶ」が一番の近道です。

とりあえず行動することで、早めの失敗を体験するなどして可能性を広げる効果があるからです。早めに失敗することを、スタートアップの世界で「Fail Fast」と呼び、極めて重要なマインドセットであると位置づけています。

早めの失敗は多くの学びを得ることで、致命的になる前に改善をすることができます。スタートアップはリソースが限られていますから、素早い判断が生命線になります。

「失敗を恐れず」なんて手あかがついたフレーズがありますが、スタートアップの世界では早めに失敗することはもはや生存戦略と言っても過言ではありません。

企業人は仕組みを疑え

起業家の人は、とにかく「自分の事業に関することを徹底的にやる」のが明確なので、今回の「忙しさへの対策」はそれほど重要なことではないかもしれません。

ただ、ある程度仕組みが出来上がっている企業や組織で働く人たちは、ぜひとも仕組みそのものを疑ってみてください。会社という仕組みから発生するいろんな仕事を引き受けすぎてしまうと、本当にやらなくちゃいけないことが埋没してしまいます。

日本は企業寿命が長い国なので、長い年月でいろいろな謎ルールが確立している場合があります。しかし、本当にその仕事は引き受けなくちゃいけないものなのかを疑ってかかる必要があります。

謎のハンコリレー、誰が読むかわからない報告書、惰性で開かれている会議……。これは古い仕組みの副産物であり、社会に貢献したり顧客価値を想像したりすることとは無縁の場合も多くあるはずです。

一度その仕組みを観察して、本当に必要かどうかを見極めてみましょう。また、「これは必要とは思えない」と思ったら、「とりあえず」やめてみましょう。それで誰かが怒ったり文句を言ったりしたら、対決するのではなく対話をしましょう。

「これにはどういう意味があるのかよくわからないので教えてください」と相手に問いかけてみて、「いいからとりあえずやれ」と言われたら、絶対やらなくていい仕事の証明ですね(笑)。

とりあえず皆さんに取り組んでほしいことは……
「意味も分からず、とりあえずやっていた仕事をやめる」
そして、
「面白そうな新しいチャレンジを、とりあえずやってみる」
の2つかなって思います。

アイキャッチ制作:サンノ
編集:ノオト