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在宅ワーカー向け 集中力を持続させるためのアイディア・ツール4選

新型コロナウイルスの世界的な流行により、予期せずして始まった在宅ワーク。パンデミックが始まって早2年が経とうとする中で、飛躍的に普及する新たな働き方に順応できずにいる人たちも少なくないだろう。そんな中、2021年初めに求人会社、Joblistが全米からランダムで選ばれた1,000人以上のワーカーを対象にコロナ禍での在宅ワークについての統計を行った。すると半数以上、53%が在宅ワークによって仕事とプライベートの分離がより困難になり、同時に仕事の集中力が続かなくなったと回答。更に38.2%の人の回答者はコロナ以前にオフィスで仕事をしていた時に比べて生産性が低下したと感じていると答えた。

在宅ワーカーを悩ませる生産性の低下と集中力の落ち込み。その多くは燃え尽き症候群によるもの。業務と私生活をうまく分けられないことから、通常なら勤務時間外にも関わらず仕事をしてしまい、長時間労働による疲れから注意散漫になり仕事に集中できなくなる。

参考:https://www.joblist.com/trends/how-working-remotely-impacts-life-outside-of-your-job

ここでは燃え尽き症候群を避け、在宅でも仕事に集中するためにできるちょっとしたテクニックや便利ツールを取り上げる。これらと併せて、簡単に取り入れられる在宅オフィスのためのインテリアデザインのアイディアや、同じく在宅ワーカー向けのウェルビーイング改善に役立つデザインなどを取り入れ、更に快適なWFH(ワークフロムホーム)ライフを目指してみるのもいいかもしれない。

1. Pomodoro テクニック

Pomodoro (ポモドロ)テクニックは、1980年代後半にイタリア人の起業家フランチェスコ・シリロによって開発された時間管理法である。タイマーを使って仕事を25分ごとに区切り、5分ほどの短い休憩をはさむという非常にシンプルだが効果的なテクニックだ。この技法は、チリロが大学生時代に使っていたトマト型のキッチンタイマーにちなんで、イタリア語でトマトという意味の「pomodoro」と名づけられた。

参考:https://www.jstor.org/stable/j.ctv11cvxcf.4

コロナ禍で在宅勤務が普及した際多くの人が陥った燃え尽き症候群。その多くは空間的に私生活と業務を効率的に分けることができず、結果的にうまく仕事から抜け出せないことが原因だった 。

メリハリがなければ、集中力は時間と共に低下し、モチベーションも無くなってしまう。ポモドロ・テクニックはタイムマネジメントにおいてメリハリを与えてくれる。業務時間を区切り、短い休憩をコンスタントに挟むことによって、集中力を持続させ、脳をフレッシュに保ってくれる。

また、25分という比較的短い時間に設定することで、時間内にキリのいいところまでタスクを終わらせようという切迫感が生まれる。業務から解放されるというある意味ご褒美に当たる休憩時間が多ければ多いほど、心理的なモチベーションの向上にも繋がることも科学的にわかっている。

参考:https://mitpress.mit.edu/books/distracted-mind

ポモドロ用便利ツール

Otto

無料 Chromeエクステンション。自分で業務、休憩時間をカスタマイズできるタイマーの他に、作業中はYouTubeやTwitterなど娯楽関連のウェブサイトを開けなくする、作業中どのようなウェブサイトやソフトウェアにどれだけ時間を使ったかなど分析してデータ化してくれるといった機能がある。作業中はオットー(青い楕円形をしたキャラクター)も画面上で一緒にワークアウトしてくれる可愛い機能も。Chromeウェブストアにてダウンロードできる。

Otto公式ウェブサイトより (https://ottoapp.me/?ref=onepagelove
実際の使用例

2. 音楽、癒し環境音でリラックス

また、音楽も集中力、効率性アップに効果的だ。これは、音楽を聴くことで周囲の雑音をある程度遮断することができるからだ。逆に全くの無音状態では脳が雑念に惑わされやすくなってしまう為、適量な音量での音楽が脳の注意を作業に引きつけてくれる効果がある。ただ音楽ならどんなジャンルでも効果的な訳ではなく、特に歌詞のないクラシックが有効だと言われている。リラックス効果のあるクラシック音楽は脳の疲労を癒してくれることから、長時間の作業も苦痛ではなくなるだろう。

参考:https://www.jstor.org/stable/40030415

また適度な環境音がクリエイティビティを高めるという学説も出ている。集中して作業したい時の雰囲気作りも重要だ。環境音とは波の音、鳥の鳴き声といった自然界で聞かれる音の他に、カフェの心地よい喧騒、通りを歩く人の足音など、日常で聞く様々な音が混じり合ったものを言う。環境音はホワイトノイズと似たような役割を果たすが、大きな違いは、聞くことで世界観に浸れることだ。YouTubeなどに投稿されている様々な作業用環境音の中には、まるでハリーポッターの世界の図書館にいる気分になれるものや、カフェで会話を楽しむ人々の声とジャズ音楽を組み合わせ、本当にカフェでコーヒーを片手に作業しているかのように感じられるものもある。いつも同じ場所や環境で作業していては飽きがきてしまうこともあるだろう。いつもとは違った雰囲気を味わって心機一転、フレッシュな気分で仕事をすることができる。

環境音のための便利ツール

Rofocus

無料Chromeエクステンションで環境音、リラックス効果のある音楽がまとめられていて、さらにポモドロの設定もある。一つのアプリで音楽、ポモドロ機能のどちらもまとめられていて使いやすい。パリのカフェでの軽いおしゃべりからアマゾンの熱帯雨林の真ん中で沈む夕日まで、15種類以上の豊富なロケーションから環境音を選択することができる。

Rofocus公式ウェブサイトより (https://rofocus.com/)

3.整理整頓

長時間作業をしていると、開きっぱなしのタブが気付かぬうちに増殖しどれがどれだかわからなくなってくる。物が溢れ、散らかったデスクで仕事をしていると集中力が落ち、無意識のうちに心理的なダメージを受け、ストレスが溜まってしまうこともあるだろう(参考:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0360132318307157 p339)。それと同様に、乱雑なブラウザも生産性を低下させる大きな原因となる。

しかし分かっていても、長時間作業をしていると、開きっぱなしのタブを気がつかないうちに増殖させてしまいがちだ。整理しようと思っていても、作業の流れを崩したくないがために結局後回しになってしまう。しかし、必要な情報を探すために、タブの山を延々と探す時間は非常に勿体ない。また、あまりに多くのタブを放置するとパソコンの処理速度が落ち、これも極めてストレスフルである。そして書きかけの資料をそのままにフリーズしてしまった時には、こちらの心もフリーズしかねない。

整理するのを手伝ってくれる便利ツール

Chrome Tab Group

去年実装されたChromeの機能、Tab Groupはその名称通り、タブをグループ分けし、グループごとにまとめて管理できる。プロジェクトごとに異なるグループ、個人的なものと仕事関連のブラウズ用に1つなど、完全にタブをパーソナライズしながら管理できる便利な機能だ。グループに振り分ける際に必要なタブ、そうでないタブを仕分けすることで必要以上のエネルギーをタブの保持に費やすことがなくなる。

参考:https://www.google.com/chrome/tips/

Chromeより

The Great Suspender

無料のChromeエクステンションで、一定時間使われていないタブを自動的に停止してくれる。ユーザーはホワイトリストを作って、アクティブでなくても停止したくないウェブサイトやタブそのものを選択できる。圧迫されたメモリ値CPUへの負担を軽減し、パソコンのパフォーマンスを上げてくれる。また、YouTubeなどでバックグラウンド再生されているオーディオを検知し、自動的に停止されないようするなどの嬉しい機能も。

実際の使用例

以上、仕事に集中するためにできること、また便利ツールなどを紹介した。冒頭で述べたようにWFHで疲労が溜まり気味の在宅ワーカーの助っ人となるアイテムだが、オフィスで働く人にも是非使って頂きたいものばかりだ。Chromeエクステンションなどはダウンロードも簡単で容量をくわない。この機会に試してみてはどうだろう。また、集中力をつなぐ上で一番大事なのは適度な休憩だ。燃え尽き症候群になるまで根を詰めすぎずに、自分にあったリズムで仕事を。

2022年1月19日更新

テキスト:松尾舞姫