東京・護国寺に茶室・和室レンタルスペース「雅」 いつでも使える都心のオアシスを目指す
2022年5月1日(日)、東京・護国寺のマンションの1階部分に24時間365日使える茶室・和室レンタルスペース「雅(みやび)」がオープンした。
「雅」はまめクリニックグループの代表で医師の石川雅俊さんが運営する。石川さんは徳川将軍家ともゆかりのある武家茶道「石州流伊佐派(せきしゅうりゅういさは)」で稽古に勤しんでおり、茶道歴は10年以上を超える。
「都内でいつでも自由に使える茶室は少ないと感じており、流派にゆかりのある護国寺近くに、自分だけの茶室をつくることにしました。しかし、利便性の高い茶室を自分だけで使うではもったいないと感じ、誰でも自由な形で利用できるレンタルスペースとしてオープンを決めました。Airbnb感覚で使ってもらいたいです」と石川さん。
この施設の茶室は、茶室デザインを専門とする株式会社リンクス・ホリ(埼玉県)が、茶室に至る内側の庭である「内露地」などの内装デザインは合同会社スナバ(神奈川県)と設計士の荻野航さんが担当。茶道の稽古や茶会以外にも使いやすいよう、少しモダンな雰囲気を意識したという。
施設名の「雅」は石川さんの名前から一文字取り、きらびやかで風流な空間であり続けてほしいという思いを込めた。また、茶室にありがちな「庵」という文字を避けることで、茶道以外の利用もできるイメージをアピールした。
部屋は8畳の「広間」と2畳の「小間」、茶道において茶席の準備をするためのスペースで、給湯室のような役割を果たす「水屋(みずや)」の3つに分かれている。
茶道は本来京都で嗜まれていた文化という理由から、東京では珍しく江戸間(1畳=約1.55平方メートル)ではなく、少し大きい京間(1畳=約1.82平方メートル)を採用した。
広間の掛け軸の「和敬清寂(わけいせいじゃく)」は茶道の心得を示す。大人数での利用が可能で、茶道以外に会議室や撮影場所など幅広い使い方を想定した。
小間は、千利休作とされる国宝「待庵(たいあん)」をイメージし、待庵にも飾られている「妙喜(みょうき)」と書かれた掛け軸を飾る。茶室特有の小さな出入口である「躙り(にじり)口」もあり、本格的な茶事や狭い空間を活かして瞑想の場としての利用もできる。
貸出設備として、座卓や6台の座椅子、ホワイトボードがある。そのほか、釜や水指(みずさし)、花入(はないれ)などの茶道具一式(5,500円)も貸し出す。衛生面などの理由から茶椀や茶筅(ちゃせん)、抹茶や生花などは持ち込みをお願いしているという。
利用料は1時間=3,300円(利用は3時間から)で、オンライン予約が可能。
「茶道関係者はもちろん、自宅に和室がない人や気分転換のため作業場所を変えてみたい人など、さまざまな人に都心のオアシスとして利用してほしいです。会議室として利用した人から『居心地の良い和室でリラックスができて、普段よりも面白いアイディアが浮かんだ』と聞いた時は、励みになりましたね」と石川さん。
「今の世の中はモノが溢れて便利な一方で、生きづらい社会でもあります。そんな時だからこそ、心の豊かさが大事だと思っています。この場所で、お茶を飲んだり、畳を感じたりすることで美意識が高まり、物事の本質を捉えるきっかけになれば嬉しいです」と笑顔をみせる。
24時間営業。
茶室・和室レンタルスペース 雅
東京都文京区大塚5丁目1-17 護国寺ロイヤルハイツ1階