「必要なのはオフィスとしての非日常」イオンモールのライフスタイルオフィスBIZrium名古屋で考える暮らしと仕事
※冒頭の写真は、撮影時のみマスクを外しています
コロナ禍を通じて、人と人とのつながりに価値を見いだす時代になり、オフィスに求める価値観は日々変化し続けています。オフィスを持たずしても仕事ができる時代に必要とされる「働く場」とは?
2022年1月14日(金)、これから求められるオフィスのあり方について考えるオンラインイベント「新しい働く場を考える ワーク&ライフのネクストプレイス イオンモール × CBRE × OKAMURA」が開催されました。会場は、2021年10月にオープンしたワークとライフがシームレスにつながる「BIZrium名古屋」です。
変化を続ける「オフィスのかたち」
イベントの冒頭では、WORK MILL編集長・山田雄介が「この国のオフィスのかたち」をテーマに、日本社会を取り巻くオフィスの現状と今求められていることについて整理します。
1900年からの100年間を見ると、働く場はどんどん変化し続けています。ここ30年ほどは、オフィスに求められるテーマも快適性、効率性、創造性、多様性と幅を広げてきました。
そして「ワークプレイスasタウン」の兆候で、働く場がビルの中から町中に広がりました。もはやオフィスはただ「働く場」ではなく「生きる場、住まう場の全てを培う場」。トヨタ自動車がWoven City構想を発表したように、また地方自治体がローカルタウンを丸ごとオフィスといった名で自分たち街を「働く場」にするといった活動も始まっています。
WORK MILLの読者1400人に「これからのオフィスに期待しているテーマ」を聞いたアンケートでは、オフィスに最も求めているのは「創造性」という結果になりました。また、「アフターコロナにオフィスで行いたい・求めたい体験」については「人と人が自然につながること」でした。
「ワークプレイスのWork(作業)から言葉を変えてVital(活力・生命)、バイタルプレイスという言葉で表現できるように、これからのオフィスは人と人が触れ合い活力を得る場であったり、ビジネスやイノベーションという生命を生み出す場になっていくのではないでしょうか」(山田)
【ワークプレイスからバイタルプレイスになるためのキーワードとテーマ】
1.労働から共感・実感へ
2.ホウレンソウ(報告・連絡・相談)からザッソウ(雑談・創造)へ
3.会議からプロジェクト/チームへ
4.訓練から習得へ
5.Re:ホスピタリティ
名古屋オフィスマーケットとテナントアンケートから読み解くシン・オフィス論
続いては、名古屋のオフィスマーケットおよびCBRE株式会社が実施しているテナントアンケートの調査結果をもとに、今後のオフィスはどのようになるのか、どんなことが求められるのかを考えます。発表者は、CBRE株式会社 リサーチ オフィスセクター担当 シニアアナリスト浅井寿理さんです。
全国主要都市の空室率は上昇傾向にあります。オフィスマーケットは、コロナ禍による業績悪化からコスト削減による一部縮小に始まり、20年度第3四半期以降はリモートワーク導入によるオフィス使用面積の見直しが始まりました。2021年はオフィスの面積見直し作業に目処がつき、移転に取りかかったテナントやオフィスが増えた傾向にあります。
次のグラフは、「コロナ禍によってオフィスに対する考え方がどのように変化したか」を示すテナントアンケートの結果(2020年実施)です。
2020年の時点で採用中のワークプレイスの形と今後の予定を見ると、固定席の割合が61%から27%に大きく減少。代わりに、フリーアドレスやABW(Activity Based Working:「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方のこと)、ABWと固定席を組み合わせたハイブリッド型の形態の割合が増加しています。
「すでにこういった自由度の高いワークプレイスに変えたテナントは増え、移転と同時にワークプレイスの形を変更した事例も増えてきています。リモートワークにより出社人数は変動し、必要な席数も変わるため、固定席のままではスペースの有効活用ができないという状況があります。」(浅井)
「コロナ禍をきっかけに、多くの企業で常に出社すべきという考え方は取り払われたといってよいでしょう。ワークプレイスの変化は、コロナ禍だけの一過性のものではなく、企業が中長期的な働き方の変化を見据えてのことと考えます」(浅井)
さらに、これからのオフィスはリモートワークだけでもオフィスだけでもない「ボーダーレスワーク」になると予想。ボーダーレスは、全ての業務をオフィスの囲いの中で行う働き方から、その囲いを外すという意味で使用しています。
「オフィスは社内外でのコラボレーション、同僚やクライアントとのコミュニケーション、そして企業ブランドを対外的に発信するスペースになります。その時々の業務や状況に合わせて自由に行き来できるようにするために、組織のあり方や働き方、オフィスレイアウトは柔軟性のあるものになっていくでしょう」(浅井)
また、移転先オフィスの条件として、セキュリティやBCP(事業継続計画)対応の充実など、万が一の出来事が起きた際にも高い設備水準が求められています。加えて省エネや再生エネルギーの対応、オフィスワーカーが安全・安心・快適に働ける環境などESGへの配慮や対応もますます重要視されています。
創造性の豊かなワークプレイスBIZrium名古屋
3人目のプレゼンターは、イオンモール株式会社 複合開発企画部の中村竜太郎さん。今回の会場でもあるBIZrium名古屋の開設意図や施設概要、利用者にとっての魅力を教えてもらいました。
名古屋駅から徒歩12分、地下鉄東山線亀島駅徒歩6分の立地に1~3階がショッピングモール「AEON MALL Nagoya Noritake Garden」、4~6階がオフィスビル「BIZrium名古屋」で構成される複合型施設がオープンしました。
同施設ではショッピングモールとオフィスが繋がる扉を複数箇所に設け、商業施設とオフィスがハード面で繋がっており、「WORK LIFE BLEND OFFICE」という開発コンセプトを体現しています。
【BIZrium名古屋・4つの特徴】
1:オフィスの低層階に充実したモール型商業施設がある複合物件(日本初)
2:ラウンジや貸し会議室を備えた国内有数のビッグプレート(※)による集約効果、交流促進を期待できる建物
3:緑豊かな環境によるリラックス効果
4:駐車場事情が厳しい名古屋駅周辺において、オフィス用駐車場を約350台用意
(※)オフィス1フロア面積7,000㎡超
4階からのオフィスフロアは、ワンフロアが7,000平米以上、約2,200坪あります。画像内のグレーで示している部分が入居テナントの占有部分。黄色で示したエリアが会議室や個人ブースなどの共用施設、ピンクで示したエリアがラウンジやテラスです。
薄緑で示した場所は「Meet up Avenue」。奥行きのある空間に複数の異なる家具を配置。商談や気分転換をしながら談笑できる空間です。
Meet up Avenueには「ピックアップロッカー」を設置。オフィスワーカーがイオンネットスーパーのアプリで買い物をすると、スタッフが購入商品をピックアップロッカーまで届けます。日本郵便などの再配達受取も可能です。
「BIZrium名古屋の利用者向け『ワーカーズアプリ』では、貸し会議室の予約ができるほか、AEON MALL Nagoya Noritake Garden内の店舗で使用可能なクーポンも配布。ランチの選択肢が広がっていくような仕掛けも作っております」(中村)