働く環境を変え、働き方を変え、生き方を変える。

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「必要なのはオフィスとしての非日常」イオンモールのライフスタイルオフィスBIZrium名古屋で考える暮らしと仕事

職場環境とともに企業風土の変化が必要となる時代

ここからは、これからの時代のオフィスづくりや働く場のあり方についてBIZrium名古屋を通して考えます。クロストークをするのは、名古屋を中心として企業に賃貸オフィスの提案を行っているCBRE株式会社の三澤琢哉さんと、中村竜太郎さん、山田雄介です。

三澤:まず山田さんにお聞きしたいのですが、働き方改革はどこから手をつければいいのでしょうか。優先順位があれば教えてください。

山田:働き方改革をどのように推進するか、悩んでいる企業は非常に多いです。「働き方を変える=スタイルを変える」ことなので、個人の意識や企業全体の風土を変えていかない定着していきません。弊社では、「人の意識や風土を変えていくためにどうするか」の部分から、チェンジマネジメントや意識改革という視点で捉え、働き方改革を提案するケースが多いです。

また、働き方改革に具体的に着手する場合、オフィス空間などの「環境」だけでなく、人事・労務や働き方の運用ルールなど「制度」の改革、ICTツールやシステムなどの「IT」といった3つの改革を、いかに同時に回していくかが重要です。そのためには、総務・ファシリティマネジメントの担当者だけではなく、人事やIT部門、経営企画など部署を横断でチームを作り、一緒に推進をしていく。これが体制づくりのポイントです。

山田:働き方を変えるには、生き方自体を改めて考える必要がありますよね。BIZrium名古屋では、働くだけではなく、買い物やリラックスできる場所など生活環境も揃っていますが、実際の評判はいかがでしょうか?

中村:BIZrium名古屋の見学後、そのままAEON MALL Nagoya Noritake Gardenで食事をされる方が多く、楽しんでいただいています。食事や買い物だけでなく、通院やフィットネスなどが1カ所で完結する点を評価していただいていますね。

山田:なるほど、コンセプト通りですね。働く場と生活環境がシームレスにつながると、ワーカーはストレスなく次の行動ができます。日々不動産の市場に触れている三澤さんから見て、BIZrium名古屋のような新たな施設をどのように評価されますか。

三澤:たとえば、都市型高層オフィスビルはエレベーターの待ち時間がストレスになることがあります。仮に毎朝10分待ったとして250日出勤したら、年間40時間ほどに。ぞっとする数字ですよね。さらに防災の観点から見ても、低層階のワンフロアの空間には高い価値はあると思います。

写真右が三澤琢哉さん(CBRE株式会社 名古屋支店 アドバイザリー&トランザクションサービス オフィス グループリーダー)

三澤:出社したくなるオフィスを考えると「働く場に、非日常的な空間がどれぐらいあるか」が、今後は大事になると思います。いわゆる仕事とは直接関係のないアメニティの部分です。

BIZrium名古屋は、レストランやショッピングフロアがこれだけ身近にあり、立体駐車場ではなくフラットで動線が確保できるなど、オフィス以外の空間が非常に充実していると感じます。

現在、どのような企業がBIZrium名古屋への入居を検討されていますか?

中村:業種はさまざまです。複数拠点を持っていて、社員をワンフロアに集めてコミュニケーションを深めたいと考える企業もありました。

また、当施設の電力は再生可能エネルギー100%のため、SDGsやESGの観点で評価いただくことも。グリーンのある環境を気に入っていただいた外資系企業もあります。

三澤:確かに外資系企業は、グリーンのある環境を好む傾向があります。気候の良い日は気軽に外で仕事できるのも魅力ですよね。

中村:名古屋駅が近く利便性が高いエリアというだけではなく、グリーンに囲まれた環境でクリエイティブな発想で仕事をしたい、自然といつも接していたいというニーズもあるようです。

ラウンジの屋外スペースにも、一人用の席を設けている

三澤:オフィスづくりにおいて日本の独自性はあるのでしょうか?

山田:日本では、オフィスをつくったらゴールと考えがちです。一方、海外ではプロトタイピング的にオフィスをつくる思考が強いと感じます。

実際のユーザーであるワーカーの意見を収集し、修正・改善しながらオフィスをつかっていくと、失敗に対する考え方が変わっていきます。オフィスはつくってからがスタート。どう活用してパフォーマンスを出していくのか、という考え方が重要ですね。

三澤:オフィスづくりは、なかなか正解がないですからね。

山田:今までは、ある種の正解といえる共通のスタイルがありました。でも、必ずしもオフィスを持たなくても働けるようになったいまは、「どういうオフィスをつくりたい」ではなく「オフィスを何のためにつくるのか」。一歩手前の段階からの相談がかなり増えていますね。

共有部分から生まれる新しい関係性

最後に、BIZrium名古屋の活用方法を通じて、働く場の意識の広がりや可能性について話し合いました。

三澤:共有部のMeet up Avenueを、執務室として使えるのは評価が高いのでは。オフィスで上司の顔を見たくないときも、心理的安全性を確保しにワークスペースを移動できますね。

無印良品とコラボをした会議室「談話する」部屋
会議室「アイデアを出す」部屋には、壁一面をマーカーで書き込める天然木ボードが設置されている

中村:上司がチームの社員の心を開かせるために無印良品とコラボレーションした会議室を使い、アットホームな空間で親しくなるといった動きもあるかもしれないですね。一息つく部屋、談話する部屋、アイデアを出す部屋、プレゼンをする部屋と4つのコンセプトでデザインされています。

三澤:身構えた会議ではなく、ざっくばらんな話をするために使うのもいいですね。

開放的なテラスラウンジからは、名古屋駅のビル群が一望できる ※撮影時のみマスクを外しています

中村:屋外ラウンジで、食事しながら悩みを聞くようなコミュニケーションも生まれるはずです。

三澤:壁に囲まれた個室とは、全然違いますよね。

山田:そうですね。共有部ではありますが、社外で話すような心理的影響が出てくるかと思います。場所というコンテンツを通じて、社員の関係性が良くなっていけば、働き方改革の推進にもつながっていきそうです。

BIZrium名古屋
住所:愛知県名古屋市西区則武新町3-1-17
URL:https://nagoya-noritake-garden.aeonmall.com/

登壇者プロフィール

─浅井寿理(あさい・ひさり)シービーアールイー株式会社 バリュエーション・アドバイザリー&コンサルティング・サービス本部 シニアコンサルタント
2014年よりシービーアールイー・リサーチ部門にて、東京および名古屋を含む地方都市のオフィスマーケットに関する分析や各種レポート執筆作成を担当。

─三澤琢哉(みさわ・たくや)シービーアールイー株式会社 名古屋支店 アドバイザリー&トランザクションサービス オフィス グループリーダー
2001年に生駒シービーリチャードエリス(現 シービーアールイー株式会社)入社。名古屋支店にて2005年までオフィスビルのリーシング営業、2006年同支店のビル営業推進部。2008年に企画管理グループリーダーに就任、経営サポート・業務プロセス改善・営業推進・人材強化に関る。2011年より現職着任。

─中村竜太郎(なかむら・りゅうたろう)イオンモール株式会社 複合開発企画部
東京都内のオフィスリーシング企業にて20年間勤務し、外資系企業のオフィス移転をサポート。その後イオンモール株式会社にて複合開発物件の企画、BIZrium名古屋のリーシングを担当。

─山田雄介(やまだ・ゆうすけ)株式会社オカムラ 働き方コンサルティング事業部 /  WORK MILL編集長
中学・高校時代を米国で過ごし、大学で建築学を学び、人が生活において強く関わる空間に興味を持つ。住宅メーカーにて住環境のプロデュース企画を手掛け、働く環境への関心からオカムラに入社。オフィス環境の営業を経て、現在はワークプレイスコンセプトの開発、メディアを通じた国内外のワークトレンドのリサーチと幅広い業務に携わる。一級建築士。

2022年1月取材
2022年2月15日更新

テキスト・写真:笹田理恵


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