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経営者、ワーカーが予測するニューノーマルの働き方 ― テレワークではかどること編

新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界中の企業がワークスタイルを見直し、在宅勤務をはじめとするテレワークの導入やシェアオフィス利用の検討などを中心とした新たなワークプレイスのあり方を検討しています。

  オカムラは、新型コロナウイルス感染症拡大によって意識され始めたニューノーマルにおける働き方と働く場について経営者、ワーカーがどのような予測をおこなっているのか、どんな働き方を望むのかを調査しました。

前回は、オフィスは必要なのか?編としてニューノーマルにおけるオフィスの価値についてアンケートから見えた結果をご紹介しました。第2回は今回体験しているテレワークにおいて、リモートに置き換えられる仕事の割合や効率について見ていく「テレワークではかどること編」をお届けします。

ニューノーマルになったら、どうやって働きたい?

コロナ禍によって予期せずに始まった在宅勤務。感染を防止するためになかば強制的に続けられている方も多いのではないでしょうか。本来のテレワークであれば、自律的に、自分の仕事の効率や健康を意識して働く場所を選択しますが、現状は在宅か出社かの2択になってしまっています。

では、ワクチンが開発され、ウイルス感染の危険性が低くなるニューノーマルに移行した際にはどんな働き方が採用されるのでしょうか。従業員100人以上の企業経営者にニューノーマルにおいて採用したい働き方を聞いたところ、一番多かったのは「今回のような事態に対応できるように、勤務場所や時間などの柔軟性を上げる」という回答でした。

「今回のような緊急事態が起こらない限りは、基本全員出社で勤務時間も固定」といったコロナ禍以前に多く見られた働き方に戻すと答えた経営者は2割強にとどまりました。これを機に働く時間や働く場所についてのルールを変えていこうと考えている経営者が多いことがわかります。

上場企業の正社員に対してもニューノーマルに移行した後、どのような働き方をしたいか聞いたところ、「出社を基本とし、必要に応じてリモート」と答えた人の割合が一番多く、6割にのぼります。

「毎日オフィスに出社」して働きたいと答えた割合は1割に満たない一方で、「できる限りリモート」と答えている人も2%しかいません。毎日オフィスかフルリモートかという極端な働き方ではなく、双方のバランスを考えて働きたいと感じている人が多いことがわかります。

リモートに置き換えられる仕事、置き換えられない仕事

在宅勤務を経験すると、リモートでやっても効率が落ちない仕事、リモートでやると障害が増える仕事があることがわかります。会議をとってみても、オンラインでおこなうことはできたとしても、果たしてうまく伝わっているのだろうか、意見は全部出されたのだろうかと不安になることはありませんか。

ワーカーに自分の仕事についてリモートにどれくらい置き換えが可能かを尋ねたところ、社内会議については6割弱の人が「5割以上置き換え可能」と感じていることがわかります。社外をまじえた会議、会議以外の仕事については半数の人が「5割以上置き換え可能」と答えています。意外にも多くの人が置き換え可能と感じていることがわかります。

偶然発生する会話(雑談)については「5割以上置き換え可能」と答えた人は3割にも満たないことがわかりました。「置き換えられるものはない」「1~2割」と答えた人をあわせると約半数になることからも偶然発生する会話はリモートに置き換えることが難しいことがわかります。

リモートがはかどる仕事、出社したほうがはかどる仕事

仕事がどれくらいリモートに置き換え可能かというデータとともに、リモートでやったほうがはかどる仕事は何かということも非常に重要になってきます。リモートでこなすことはできても、圧倒的に効率や成果の質が下がってしまうということも考えられるからです。

ワーカーにリモートがはかどる仕事、出社したほうがはかどる仕事について尋ねたところ、個人作業(資料作成)は6割以上の人が「リモートの方がはかどる」と答えました。

しかし、個人作業以外の仕事について見てみると、ちょっとした相談、社内会議、上司・部下への報告、意思決定どれについても「出社したほうがはかどる」と答えている人が圧倒的に多いことがわかります。コミュニケーションをとりながら進める仕事に関しては出社しておこなったほうがはかどると感じている人が多いようです。ただし、オンライン会議についてはリモートでおこなっても、出社しておこなっても「変化しない」と答えた人が半数以上のため、環境に影響を受けにくいことがわかります。

リモートと出社のバランスを考え、自律的に働く時代に

ニューノーマルにおいてどのように働きたいのか、どのような働き方を採用したいのかについては経営者、ワーカーともに「毎日出社」or「フルリモート」といった極端な二択ではなく、出社とリモートのバランスをとりながら働けるようにしたいと感じていることがわかりました。そのためには場所や時間を固定せずに働けるようにルールを変更していく必要があります。

さらに、コロナ禍で在宅勤務を経験したことにより、リモートに適した仕事があることがわかってきました。今後はリモートに置き換え可能かどうかという視点と、リモートにすることで効率や質が上がるかといった視点をあわせて、「この仕事はリモートでやるべきなのか」といった判断をする必要が出てきます。

働く場所や働く時間の柔軟性があがるということは、それを選択して働く能力が求められるということでもあります。自分の置かれている状況やパフォーマンスを意識して行動する。そんな自律的なワーカーに、私たちは生まれ変われるでしょうか。

次回はテレワークについて経営者とワーカーの間に生じているギャップについて「テレワークに対する認識編」をお届けします。

■調査概要

ニューノーマルの働き方、働く場アンケート ワーカー編
調査期間:2020年7月20日~8月4日
調査方法:インターネットによるアンケート
回答者:上場企業の正規社員 14社 282名 ※テレワーク実施者は230名
集計方法:単純集計

ニューノーマルの働き方、働く場アンケート 経営者編
調査期間:2020年8月10日~8月30日
調査方法:インターネットによるアンケート
回答者:従業員100名以上の企業経営者 300名
集計方法:単純集計

2020年11月12日更新

テキスト: 池田晃一(株式会社オカムラ)
調査:オカムラ ワークデザイン研究所 2020年
データ参照元:柔軟な働き方の効果検証 ニューノーマルの働き方、働く場データ集