相手の機嫌に左右されないようにするには? 仕事を断るのを怖がるのをやめよう
仕事でもプライベートでも、やりたいことは山のようにある。同時に、周りからのいろいろな頼まれごとにも向き合っていくと、いつの間にか予定はいつもパンパンに。この働き方、暮らし方は思っていたのと、ちょっと違う気がする……。そんなときに必要なのは、こだわりや常識、思い込みを手放すことなのかもしれません。連載「やめるための言葉」では、圓窓代表取締役・澤円さんと一緒に「やめること」について考えていきます。
「断れない人」は一定数いるみたい
ボクはいろんな人から相談を受けるのですが、その中で一定の割合で混じっているのが「断れない」という悩み。人から何かを頼まれると、どうしても断れず、結局しんどいことになってしまうというわけです。
断ることができる人とできない人の割合を調査したものはいくつかあるようです。
人材・教育系企業「ALL DIFFERENT」による新入社員意識調査では、「頼まれると断りにくい/ほとんど断れない」と感じている新入社員は約75%に上るそうです。
そりゃ新入社員ならそうだよな~と思いきや、日本労働組合総連合会(連合)の行った調査によると、サンプル全体963人のうち、「頼まれると断れない層」は736人となっていて、約76%になるとのこと。
これで「日本人は断れない民族である!」なんて雑に括るつもりはありませんが、一定の割合で「断れないな~……」と悩む人がいるのは事実ではないでしょうか。
特に、頼んできた相手が自分の評価者だったり、職場の人間関係を保つうえで重要な人だったりした場合、断ることのリスクを考えて、泣く泣く自分の時間を差し出している人もいそうですね。
実際のところ、断らないと何が起きる?
ちなみに、実際のところ仕事を断ったら何が起きるのでしょうか?
頼まれた仕事が、自分の業務として完全に定義されている場合には、自分の評価が下がるというわかりやすい結果につながりますね。
そもそもこれは「頼まれた仕事」ではなくて「自分の仕事」なわけですから、「頼まれる」という状況になっている時点で、どこかで後手に回っている可能性もあります。この場合には、断るも何もなくて、とりあえずやりましょう。
では、そうではない仕事はどうでしょうか?
相手がほかの仕事で手いっぱいになっているので、あふれた分を頼まれるとか。頼んできた人が苦手な仕事で、かつ自分がやれば確実にクオリティが高くなるので頼まれるとか。その人が休みを取りたいので頼んでくるとか。
このように「本当に自分がやらなくちゃいけないわけではないけれど、頼まれてしまう仕事」と断るとどうなるのでしょうか?
本来ならば「断っても何も起きない」が自然な姿のはずです。そもそも自分の仕事ではないわけですから、断る権利はあるはずなのです。
でも、なぜ断りにくいのかというと、「自分に対する相手の印象」が悪くなるのが怖いから、というパターンは大いにありそうです。特に、何かを断ると機嫌が悪くなる人は一定数います。機嫌が悪くなられるのが嫌だから、とりあえず受けちゃう……というパターンを経験した方、きっといますよね?
でもこれ、ちょっと問題があります。「感情で相手をコントロールする」というのは、何かと話題な「ハラスメント」的な要素を含んでいます。ハラスメントを甘受してしまうのは、職場においてはリスクがあります。
一度ハラスメントを受け止めてしまうと、それが常態化してしまって抜け出せなくなったり、もっと悲劇的な状況になって自分の心身に悪影響が出てしまったりしかねません。ということで、「断るのが面倒だから、引き受ける」というのもちょっと考えた方がよさそうです。
フレーズを決める
では、どうすればいいでしょう?
1つの対策として「断るフレーズを決めておく」というのはいかがでしょうか?
何かを頼まれたときに、とっさに断るフレーズが出てこなくて、考えるのが面倒になって引き受けてしまう、なんてパターンはこれで解決できそうです。
アサーティブ・コミュニケーションという「自他を尊重する自己表現」の手法を使うと、以下のような言い方が考えられます。
このお仕事に声をかけていただいてうれしいです。
ただ、今進行中のプロジェクトの締切が近く、これ以上増やすとどちらも中途半端になってしまいそうです。
もし可能であれば、他のメンバーと分担するか、納期を少し延ばしていただくことはできますか?それなら対応できるかもしれません。
この文例は、
D(Describe):客観的な事実(今の状況)を伝える
E(Express/Explain):自分の主観的な気持ちを伝える
S(Suggest/Specify):解決策や提案を出す
C(Consequences):その結果どうなるかを提示する
という構成をとっています。このパターンであれば、「むげに断る」という印象を与えにくいので、受け止めてもらえる可能性が高まります。
それでもゴリ押ししてくる人がいるかもしれませんね?
その場合には、相手にも条件を突きつけるというやり方もあります。
では、そちらの仕事を優先させるための依頼を、マネージャーのAさんに出してもらえますか?
Aさんからの指示がもらえれば取り掛かれますので。
こんな感じで、相手にも何かしらの条件を提示することで「交渉」を始めてみましょう。「条件が満たされれば受けますよ」という姿勢を見せているわけですから、相手に選択肢が渡ります。
それでも食い下がってくる相手には……? そういう連中は、フェアな関係とはいいがたいですね。とはいえ、感情的になっては自分の価値が下がります。にこやかに同じフレーズを繰り返すのもアリです。
あるいは、「では、見返りとして高級焼肉を、チーム全員にごちそうしてください。今すぐに予定を入れましょう。」と、過剰な要求を出すのも面白いかもしれません。
口約束だけだと逃げられる可能性があるので、他にも証人を作るのがミソ。その場で2~3人仲間を募って一緒に焼肉を食べに行く予定を立ててしまいましょう。それが嫌なら、相手は逃げ出すでしょうしね。
あれこれ条件を出した上で、それでも引き受けたいと思えるなら、それはもう“自分の意思”です。その選択肢は、あなたにあります。
アイキャッチ制作=サンノ
編集=ノオト


