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オルビスが大切にする「スマートエイジング®」 ― 創業時から根づくフィロソフィーの力

「人に本来備わっている力を最大化することが、我々のHRポリシー」と話す、オルビス株式会社のHR統括部部長・岡田悠希さん。前編ではこのポリシーを体現するような、さまざまな取り組みをご紹介いただきました。

 

オルビスは第二創業期となる2018年から「スマートエイジング®」を提供価値としています。年齢に抗うのではなく、変化を前向きに捉えながら、その人その人のもつ美しさを引き出していくことに価値を見出す。「スマートエイジング®」はHR統括部だけでなくオルビスの全員が大切にしているフィロソフィー(哲学)で、社内の日常会話にも登場していると言います。

 

後編では、この「スマートエイジング®」という言葉が、同社のカルチャー形成の中でどんな役割を持った言葉なのか。また、この言葉が支えている、オルビスのコミュニケーションカルチャーに迫ります。

 

・記事前編_第二創業期、事業と組織の両輪で行ったリブランディング – オルビス・岡田悠希さん

 

判断基準は「スマートエイジング®」かどうか

WORK MILL:前編の最後では、採用時に「スマートエイジング®」に共感してもらえるかどうかを重視されているとうかがいました。この「スマートエイジング®」について、教えていただけますか?

 

岡田さん:「自分らしく年齢を重ねていく」という意味の言葉ですね。ブランドの提供価値であると同時に、オルビスが最も大事にしているフィロソフィーです。「スマートエイジング®」というワードで打ち出したのはリブランディング以降ですが、込められている意味そのものは、創業当時からスピリットとして存在し続けています。

 

― 岡田悠希(おかだ・ゆうき)
オルビス株式会社 HR統括部部長。2008年、ポーラに入社し、トータルビューティ事業本部で九州・首都圏を中心とした店舗マネジメントを経験。その後、現場における組織開発、マネジメント開発牽引。2018年からオルビスに出向し、第二創業期からの組織開発や制度改革を主導する

 

WORK MILL:採用面接のなかで、フィロソフィーへの共感度合いはどのように判断しているのでしょうか? なかなか見えづらいものなのではないかと……。

 

岡田:感覚的な答えになってしまいますが……本当に共感していただけている方は、本質的な質問をくださいます。例えば「あなたの場合は『スマートエイジング®』をどういうふうに捉えていますか」とか「『スマートエイジング®』な仕事は、どんなものがありますか」など。「スマートエイジング®」に興味関心を持っていただけて、面接の中でもその言葉が自然に出てきて、会話が成立しているのです。

 

もう1つ、「スマートエイジング®」の考え方はダイバーシティや多様性といった文脈と近しい所にある考え方なので、これらを大切にしている人であれば、「スマートエイジング®」にも共感していただきやすい傾向にあります。

 

WORK MILL:日頃から社内でも使われている言葉だと聞きました。

 

岡田:はい。今ではメンバー同士の会話でも、「それってスマートエイジング®的かな?」のような発言が自然と登場しています。

 

あとは、前編でもお話ししたオープンマインドが浸透してきたことにより、比較的若いキャリアの方もベテラン層に対して提案をしたり、自分たちでグループをつくって経営陣に直接提案したりしていますし、そういった動きから実際に新規事業が生まれることもあります。今までは遠慮して言えなかったことも、自信を持って提案していけるようなカルチャーに変化してきているんです。

オンラインコミュニケーションが、オープンマインドの浸透を加速させた

WORK MILL:もう少し、普段のみなさんのコミュニケーションについて教えてください。今はリモートワークですか?

 

岡田:今はコロナの影響で出社制限をかけていることもあり、7割以上がリモートですね。

 

リモートワークも、オープンマインドのカルチャー形成の一貫で2018年に導入しました。当時は企業によってリモートワークの方針はさまざまで、私が調べた中でも、週1日だけリモートOKの企業もあれば、週4日OKの企業まで幅広く……その企業が置かれている事業フェーズやワークフロー、組織文化、従業員のITリテラシー、さまざまな要素を総合的に考えたうえで、最も労働生産性が高くなるバランスを見極めなければなりません。

 

「ではオルビスはどうしよう」と考えたときに、やっぱり判断軸は「スマートエイジング®」なんですよね。この考えに則れば、人には本来力が備わっているもので、その人が最もパフォーマンスを出せる働き方を自分で選択してほしい。そこには責任も伴いますが、選択肢があるということが大切です。

 

ー 取材が行われたSKINCARE LOUNGE BY ORBISの床には、オリジナルのタイルを使用。 1枚1枚異なる色・表現を持つタイルが集まって店内を構成しており、多様性のある美しさを目指す 「スマートエイジング®」  を表現している。

 

岡田:であれば、アウトプットとパフォーマンスが一番高まる働き方を、自分で決めて自分で選択するのが良いんじゃないかという結論に着地しました。そのため、コロナ影響下における一時的な措置も含めた現在では、週に何日までOKとか、この時間からこの時間はダメとか、全部署一律でこうしましょう、など全体向けのルールは決めていません。一方で組織機能は維持しなければなりませんから、最低限の生産性を維持するために必要なコアタイムを定めたうえで、部門長にすべて委ねる形としました。

 

WORK MILL:2018年、ショップで働くビューティーアドバイザーにヒールのないバレエシューズを許可したり、本社勤務の方々の服装を原則自由にされたことも、身だしなみを重視する化粧品業界では革新的で、メディアに取り上げられていましたね。

 

岡田:服装についても同様です。「スマートエイジング®」の思想を重視するなら、画一的なルールで管理すべきではない。ある種性善説の思想ではあり、個々人には責任もともなうので、その責任を果たせていない方は相応の評価になります。エンゲージメントの高い従業員が多い組織だからこそ、実現できているとも言えるでしょう。

 

WORK MILL:リモートワークの日は、基本的にオンラインコミュニケーションでお仕事されるわけですよね。新たなカルチャーを浸透させていく重要な段階でもあったわけで、苦労はありませんでしたか?

 

岡田:オンラインコミュニケーションには、以前からSlackを使用しています。スタンプなどのリアクションがあるだけで双方向性を感じられますし、元々人に興味のあるメンバーが多いので、いろんなプロジェクトを見に行って横断的に情報を得てくれる。オンラインコミュニケーションについては、ツールをうまく活用することで、よりオープンマインドに進んだのかなと思います。オンボーディングにも役立ちましたしね。

 

WORK MILL:2020年、これからのオルビスを担うメンバーとして、一気に40名を中途採用されましたね。

 

岡田:はい、まさにその40名は、リモートで受け入れを行う形となりました。事前に新メンバーの自己紹介を、Slackに投稿しておくんです。そうすると、そこに既存メンバーからのコメントやリアクションが自然と入っていきます。そうして本人がログインしたときに、みんなから歓迎されているんだ、という一つの体験を感じられるようになりますよね。

 

今お話ししたのは一例ですが、このように「オルビスに迎え入れられているんだ」という安心感をリモートでも持ってもらうために、入社当日までにいろいろな工夫をしています。入社後もずっとオンラインですと、孤独を感じることもあるはず。そこで定期的にHR統括部が1on1を行い、本人了承のもと必要な情報を上司にフィードバックして連携を図ったり、入社後のギャップが生まれないよう、できることに注力しています。

ー SKINCARE LOUNGE BY ORBISの1階にあるJUICE BAR。その日の体調や生活リズムに合わせて、メニューを選ぶことができる。

「あたり前」を見つめ直し、新たな選択肢を提供する

WORK MILL:これから、オルビスはどんな組織をめざしていくのでしょうか?

 

岡田:まず大前提として、「スマートエイジング®」の思想や考え方は、お客様や市場から選んでいただける限り、未来に紡ぎ続けていきたいと思っています。そして「スマートエイジング®」をサステナブルに価値提供していくために、変化する世の中に合わせてブランドをアップデートさせていかなければなりません。

 

ブランドをアップデートさせるには、一生懸命お客様のことを考えて、付加価値を提供し続けることが必要です。これができるのは、ヒト、モノ、カネの資源のなかでヒトだけだと思っています。オルビスで働くと成長できる、ヒトが成長することで、ブランドも成長する。そんな組織にしていきたいですね。

 

WORK MILL:そのために、HR統括部はどのような形で寄与できるとお考えですか?

 

岡田:無理して頑張ったり、無理して成長するとなると、「スマートエイジング®的」ではないんですよね。ブランドをサステナブルなものにしていきたいのに、人の成長がサステナブルなものじゃないと、サイクルが崩れてしまう。成長を持続させていくためにも、しっかりとしたセキュアベースを我々が用意していかなければと思っています。

 

WORK MILL:セキュアベース、「心の拠り所」を示す言葉ですね。

 

岡田:はい、挑戦を続けていくためには、セキュアベースが必要だと思っていて。困ったときに相談できる、心の拠り所となる人や場所を、社内にいくつかつくってもらいたいと思っているんです。それは社内のコミュニティでもいいかもしれないし、上司でもいいかもしれないし、あるいは外部でもいいかもしれない。挑戦と、自分のセキュアベースがセットである組織をつくっていきたいと思っています。

 

 

WORK MILL:ブランドとしてはいかがでしょうか?

 

岡田:ブランドのあり方――「常識にとらわれない視点から、日常文化を美しく創造しつづける。」というビジョンについては、創業当時から、今も、そしてこの先もおそらく変わらないでしょう。もともとオルビスは「店舗でカウンセリングを受け、販売員のおすすめのものから選ぶ」があたり前だった化粧品に対して、「通販で自分の好きなものを自分で選ぶ」という新しい購入体験を生み出したことが起点にあります。時代にあたり前とされているものを見つめ直し、本質を考え、新たな選択肢を用意していく、その姿勢は変わりません。

 

今世の中を見ると「マイナス5歳肌が美しい」、いわゆるアンチエイジングの考え方が主流になっています。もちろん、アンチエイジングを否定するつもりはありません。ただ、それだけが「美しさ」ではないはず。「美しさ」とは、もっと可能性や多様性にあふれているもの。そう信じているから、我々はこれからも「スマートエイジング®」を提供していくのです。

 

2021年5月20日更新
取材月:2021年4月

テキスト:プレスラボ
写真:鶴田 真実

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