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世界20カ国のエリートがつくる「気持ちいい未来」― 自然電力

 

この記事は、ビジネス誌「WORK MILL with ForbesJAPAN ISSUE03 THE AGE OF POST-INNOVATIONALISM イノベーションの次に来るもの」(2018/10)からの転載です。

 

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私たちは今回、イノベーションに代わる新しい経済のかたちを探す旅に出た。訪れたのはロンドン、北京、そして東京。くしくも今世紀、オリンピックの開催地に選ばれた3都市だ。企業や大学、専門家への取材を続けていくうちに、「2020年」後の日本を考えるヒントが見えてきた。

 

東京・本郷にある自然電力のオフィスを訪れると、多くの人は驚くことになる。従業員の国籍が延べ20カ国超という多様性に加えて、年齢層も幅広い。20代の学生インターンから、70代のベテランまで、必要なスキルをもったプロフェッショナルが集まる。「ブラジルでインターンの募集をかけたら、 1,000人も応募があった」(広報)というから、海外のエリート層から見ても魅力的な職場なのだろう。

 

学生時代から環境問題に関心をもっていた磯野謙が、自然エネルギーにビジネスチャンスを見いだしたのは 2006年のこと。新卒で入社したリクルートでは、利益を出すことの重要性を教えこまれた。「それは企業として当然のことですが、自分の志向とは合わないと思い始めて」(磯野)、退職。 屋久島に住み、「ぷらぷらして過ごした」あと、風力発電ベンチャーに転職する。そこで11年3月の東日本大震災による原発問題を目の当たりにした。

 

「自然エネルギーの将来性を確信した出来事でした」

 

同年、磯野は風力発電ベンチャーの同僚だった川戸健司、長谷川雅也と3人で自然電力を起業した。同社は自然エネルギー発電所の開発事業、設計・調達・施工、運営・保守事業に加え、農作物の生産・販売・マーケティング事業を手がける。従来の電力会社のような中央集権型の巨大組織ではなく、フラットでコンパクトな組織で、フットワークが軽い。

 

もうひとつのユニークな点が、自然エネルギー発電所で得た利益を地域に還元する点だ。背景にあるのは、発電事業を通してグローバルな問題にアプローチするだけでなく、ローカルな課題にも向き合いたいという思いだ。少子高齢化や過疎化、地域産業の衰退―といった問題は、地方が抱える共通の悩みとなっている。

 

今秋、自然電力グループの農業法人が食品ブランド「HALO JAPAN FOOD」立ち上げ、熊本県合志市産の甘草をフレーバーに使ったビールを発売する。熊本市のダイヤモンドブルーイングと開発したクラフトビールを商品化したものだ。川戸は言う。

 

「地域には発電所設置に反対する方もいる。そういうとき、私たちは反対派を抑えるのではなくて、賛成派を増やしていきたい。地域への貢献はそのために必要なこと。エネルギーとは遠 くても、ソーシャルインパクトを考えているような企業や取り組みを支援し続けていきたいですね」

 

気持ちのいい未来をつくる

 

「そもそもの動機が、発電所をつくる ことではない」(川戸)という同社の最終目標はエネルギーから世界を変 えること。環境問題にとどまらず、エネルギーの先に広がるさまざまな社会 問題に、ビジネスを通して取り組むのがミッションだ。3人の代表取締役の関心事も違い、環境、農業、過疎化、高齢化と、この先の日本が抱える問題にそれぞれの意識が向く。

 

ダイバーシティも、それ自体を意識したわけではない。自然エネルギーの発電所をつくるために必要な人材を探した結果、多様な人材が集まった。投資銀行を経て電力事業に従事する 佐々木儀広は「年齢や国籍も様々で、雇用形態もばらばらだけど、それによる垣根はない」と話す。

 

一つだけ共通しているのは「みんなで気持ちいい未来をつくる」というマインドセット。自然電力の事業は、そこに関わる個人が描くそれぞれの未来と繋がっている。

 

― 社内にあった風力発電機の模型

自然電力
2011年6月に磯野謙、川戸健司、長谷川雅也によって設立。「気持ちのいい未来をつくる」をモットーに、自然エネルギー発電所の発電事業や、事業開発、電力小売事業を手がける。

 

2020年6月3日更新
取材月:2018年7月

テキスト:竹林篤実
写真:鳥巣佑有子
※『WORK MILL with ForbesJAPAN ISSUE03 THE AGE OF POST-INNOVATIONALISM イノベーションの次に来るもの』より転載

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