自分の最高速度・平均速度とは? 「“忙しい=価値がある”と思い込む」のをやめよう
仕事でもプライベートでも、やりたいことは山のようにある。同時に、周りからのいろいろな頼まれごとにも向き合っていくと、いつの間にか予定はいつもパンパンに。この働き方、暮らし方は思っていたのと、ちょっと違う気がする……。そんなときに必要なのは、こだわりや常識、思い込みを手放すことなのかもしれません。連載「やめるための言葉」では、圓窓代表取締役・澤円さんと一緒に「やめること」について考えていきます。
「忙しい」とは何なのか
これを読んでいるそこのあなた!
忙しいですか?時間に追われてますか?
多くのビジネスパーソンは、仕事に追われて自由な時間がないと感じているのが現状ではないでしょうか。この「忙しい」って、何なんでしょう?
「忙しい」が口癖の人の中には、「忙しい」ことに対して疑問を持っていないように感じています。よく言葉遊び的に「『忙しい』という字は『心を亡くす』と書くのです」なんて説明がなされますよね。忙しい=心の死、まで言う気はありませんが、忙しいという状態と心穏やかという状態とはあまり相性がいいとは思えません。
でも、多くのビジネスパーソンは忙しくあろうとしているように感じています。忙しいということは、顧客や組織から求められているという証拠だと思って、日々寝不足と闘いながら仕事に邁進している人も少なくない気がします。
あるいは、「とにかく上の言うことは絶対!全てのオーダーを受けてこそ仕事人!」なんて思っている人もいるかもしれません。
また、「本当はのんびり仕事したいんだけど、周囲の人がバリバリ働いているので、自分もやらなきゃと思って……」と、外的な理由で忙しい状態を受け入れてしまっている人もいますね。
さらには「暇だと思われると評価が下がるのではないか」という恐怖心に駆られて、とにかく朝から晩まで予定を入れてしまっていたり。
あるいは、エンジニアにありがちな『凝り性』が裏目に出て、よりよいコード、より新しい技術を追い求めるうちに自ら迷宮に足を踏み入れ、時間を溶かしてしまっている人もいるでしょう。
そして、効率化を進めたはずなのに、空いた隙間にすぐさま別のタスクを詰め込んでしまう『空白恐怖症』のような状態に陥っているケースも見受けられます。忙しいと言っている人の中にも、さまざまなパターンがありそうです。
「いい仕事」には休息が必要
さて。『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)の著者であり、ボクの元同僚でソウルメイトでもある越川慎二さんが、Xでこんな投稿をしていました。
これを見ると、「忙しい」という状態は、効率的に仕事をすると言う状態とは相性が悪いことが透けて見えます。忙しい人は、休日などにも仕事の予定を入れてしまったりして、とにかく隙間を埋めてしまいがち。
でも、越川さんの教えてくれるデータによれば、その行動が結局仕事の効率を下げてしまっているようです。忙しいと、疲れますよね。疲れを取るためには、良質な休息が必要です。
でも、休息を取るという行為を素直に受け入れられない人というのは、休息の時間を仕事の時間と入れ替えてしまい、疲労状態がずっと続くという悪循環に陥ってしまいます。この「疲労を軽視することの危険性」は、極端な現場ほど顕在化します。
以前、ある記事で読んだのですが、どんな厳しい訓練もさらりとこなすような超優秀なエリート自衛官が、訓練中に突然脱走したそうなのです。捜索されて発見された時にはその自衛官はうつ状態に陥っていて、いわゆる「折れて」しまっていたそうです。
この「折れた」原因が、訓練などによるストレスではなく「疲労」が原因だったというのです。疲労の蓄積によって、結果的に脳から「もう動くな」という指令が下され、仕事ができなくなるのだそうです。
忙しいと、アドレナリンが出まくって無双モードで働くことができる場合もあります。ただ、疲労は残酷なまでに蓄積していくのです。疲労から目を背け続けてしまうと、結果的に仕事が全くできない状態に陥りかねないのです。
自分の「平均速度」と「最高速度」を知ること
では、どうすればいいのか。解決策は、自分のキャパを超えた仕事を受ける状態を避けること。その前提として、自分の仕事の「平均速度」と「最高速度」を認識しておくことです。
平均速度とは、
「顧客向け営業資料作成なら、3時間空けとけばOK」
「100行程度のコードレビューなら、集中すれば30分で完了できる」
「定例ミーティングの議事録作成なら、終了後15分あれば共有まで終わる」
こういった、自分の「いつものペース」のことです。このスピードを知っておけば、スケジュールを立てるときに無理な時間配分を避けることができます。
また、「超本気を出せばどれだけ早められるか」という最高速度を知っておくことも効果アリです。先ほどの例であれば、
「営業資料作成は気合い入れれば2時間でもできる」
「コードレビューを15分で終わらせる技もある」
「議事録は10分でまとめるバージョンも用意してある」
こんな感じでしょうか。ポイントは、この「最高速度」を日常にはしないことです。高性能な車も、最高速度をずっと出していれば壊れるリスクは高まります。
なので、伝家の宝刀・秘伝の奥義・リーサル・ウェポン的に取っておいて、できれば出さずに済ませるくらいで仕事をするようにスケジュールを立てることで、極端な疲労蓄積を避けることができます。
忙しいことは、悪いことではありません。ただ、「いい仕事」をする方が、ずっといいことですよね?
そのために必要なのは、スケジュールの余白です。ぜひ自分のスピードと照らし合わせて、隙間を作る意識を持ってください。
「そうは言っても次々に降ってくるんだもん!!」という悲鳴、しっかり聞こえました。はい、そういうこともありますよね。長くなってきたので今回はここまでにして、「断れない構造」についても近々書かせてもらいましょう。楽しみにしていてくださいね。
アイキャッチ制作=サンノ
編集=ノオト


