ひとりぼっちの「妄想」から生まれた、『大濠テラス 八女茶と日本庭園と。』-テラスの仕掛人・戸田三喜郎
福岡県民の憩いの場として愛される「福岡県営 大濠公園」。
公園は、散歩や談笑を楽しむ地域の人びと、ランナーや観光客などで、日々賑わっています。その「大濠公園」に『大濠テラス 八女茶と日本庭園と。』を生み出したのが、テラスの仕掛人、戸田三喜郎さんです。
『大濠テラス〜八女茶と日本庭園と。』は、大濠公園内の南側、日本庭園に近接して建つ 2 階建ての木造建築で、Park-PFI 制度(都市公園の魅力向上と活性化を図るために、公園の整備を行う民間の事業者を公募し選定する制度)による公募によって選定された、公民連携による休養施設(飲食施設)です。企画提案の段階では、日本庭園の認知・回遊性の向上に加え、福岡県の特産品のひとつでもある「八女茶」の情報を発信することなどが求められました。
そんな戸田さんに、Open Innovation Biotope “Tie”の北島かおりさん(写真右)と高木有香さん(写真左)が会いに行く!
戸田さんを形作る重要な成分である、『妄想』をキーワードに、戸田さんに迫ります!
―戸田三喜郎(とだ・みきろう)
愛媛県西条市出身。1996年積水ハウス株式会社に入社。アイランドシティ開発を手掛ける。2014年クレアプランニング株式会社に転じて、商業施設や店舗開発に取り組む。「We Love 天神協議会」会員。2020年9月大濠公園内の日本庭園横に『大濠テラス 八女茶と日本庭園と。』をオープンさせる。2021年10月株式会社レーサム福岡に入社。好きな言葉は「自分の人生を幸せにするのも、不幸せにするのも自分次第!」「出会いが人生を変える!」。趣味は、まちづくり。読書。「文字を補給するために、本を読みます。」
「人が喜ぶ姿を見たい」という想いを成し遂げるために、僕は「妄想」し続ける。
WORK MILL:ずばりお伺いします。戸田さんにとって、「妄想」とは何ですか?
戸田:何なんでしょうね……。
僕が、アイデアをカタチにするための仕組みの一つとでも言っておきましょうか。
僕には、建物の力で、地域や場所の魅力を最大限引き出したい、という想いが常に頭の奥にあって、旅だとか出張先で「いいな」と感じた建物や空間を、福岡でやるならここだな、そうするとどんな人が来るかな …… って、気づいたら「妄想」してしまう。
「妄想」とは、僕を形作る重要な「成分」なんです。きっと。
戸田:でもね、「妄想」って、ちょっとあやしいイメージを持ってしまうかもしれないけど、僕の場合は、企画を実現するために、「絶対に必要なもの」なんです。
「妄想」って、誰からも束縛されずに、自由に、思うがまま、アイデアを紡ぐことができるでしょ?
僕にとって、「妄想」とは、「これをやったら、楽しいに決まってる。喜んでくれるに決まってる!」っていう想いの結晶でもあるんです。
そうしたら、次は、その「妄想」を実現する仲間を探す。
自分ひとりじゃ何もできないことを自分自身が一番よく分かっているから、「この指止まれ」って言って、共感してくれる人やデザインしてくれる人、設計してくれる人を探す旅に出るんです。
WORK MILL:戸田さんが、勇者に見えてきました。仲間はどうやって見つけるんですか?
戸田:これは、何かを成し遂げるコツとも言えると想いますけど、ひとりでうだうだ悩んでいても、何も解決しないですよね。だから、僕の場合は、できるだけ早く、僕の「妄想」を実現してくれそうな人に相談をして、その人を上手く乗せて、仲間にしてしまうんです。
何より、あちこちの課題と課題をマッチングさせて、人が動かす仕組みをつくるのが、面白い。乗せられた方は、たまったもんじゃないかもしれませんが、生み出した建物なりプロダクトを見て、関わった人全員が、「いい仕事ができたな」と、感じてくれたらいいなと思います。 ちなみに、相手を乗せるコツは、「戸田と組んだらなんかできる」と思わせることです。
だから、僕は、それを立証するために、毎日何かを生み出したり、カタチにし続けなくてはならない。サボっている暇がないわけです。
普段から自治会や各種ボランティア活動、青年会議所や「We Love 天神協議会」での活動を積極的に行うことで、仕事やお金だけでは絶対に生み出すことができない「繋がり」を大切にしています。このほか、近所の公園で地域住民を対象とした「防災キャンプ」をしたり、キッチンカーの集まる場所「yakuin_terrace(薬院テラス)」を創ってみたり、雑草だらけの花壇を勝手に整備して花を植えてみたり、自分勝手な自己満足を日々実践しています(笑)。
あと、これは内緒にしたいところなんですが、たまには、自腹も切る。妄想を具現化していくことが、生きがいなんです。こんな僕に、家族は、完全に呆れていますけどね……。
WORK MILL:自腹を切る! そこまでして「妄想」を実現する原動力はどこから生まれるのですか?
戸田:「人が喜ぶ姿を見たい」という想い。それに尽きます。
僕は、人が集う場所を創るのが、自分のライフワークだという覚悟を決めて、テラス作りに挑んでいます。
「テラス」には、人が集うアイテムがたくさんあるでしょ? テラス席とか、ベンチとかね。そういう場所を、あちこちに創りたい。
あとは、日本語で、人を「照らす」場所というユーモアも込めています。 僕は、自他共に認める「テラスの仕掛人」なんです。