「ちゃんと座る」ってどういうこと? テレワーク時代に求められる身体と椅子の正しい使い方
コロナ禍によって在宅ワークが一気に普及し始めました。そこで改めて注目を集めているのが、椅子と身体の関係性です。現実的な問題として、「家のソファや椅子に座って仕事をしているけど、腰や肩が痛くてつらい」と感じている人も多いのではないでしょうか。
2022年6月9日に開催されたイベントのテーマは、『「ちゃんと座る」を教えてくれる椅子との出会い! ~テレワーク時代に求められる心と身体のアクティベーション~』。
座ることが身体に対してどのような影響を及ぼすのか? オカムラの新作タスクシーティング「Spher(スフィア)」を事例に、人間のあるべき姿勢や身体を活性化させる方法について探っていきます。
働き方の変化に合わせて オカムラの椅子づくりヒストリー
約70年前から、働き方や環境に合わせた機能とデザインを持つ「タスクシーティング」を研究してきたオカムラ。長い歴史の中で、どのようにオフィスチェアは変化してきたのでしょうか? オカムラのエクゼクティブ・リサーチャー浅田晴之が紹介します。
浅田
1980年代は、オフィスにパソコンが導入されるとともに、室内環境の悪化や健康被害が叫ばれるようになりました。
1980年代後半には、内装や照明などオフィスのインテリアが大きく変化しました。象徴的なアイテムが、人間工学に基づいて設計された「エルゴノミックチェア」です。座る人の体格に合わせて高さや背もたれの角度を調整できる椅子や、安定性の高い5本脚の椅子が登場しました。
浅田
1990年代になると、多くの業務がパソコン中心に。それに伴って、座面と背もたれがリクライニングする機構や座面の場所によって硬さの違うクッションを使うなど、「人の体に寄り添う椅子」へと変化した時期です。再生材の利用や分別してリサイクルできる「エコロジー対応」が始まったのもこの頃です。
浅田
2000年代に入ると、パソコン画面を見ながら作業する時間がより長くなると同時に、作業姿勢も多様化しました。後傾姿勢をサポートするヘッドレストや肘が可動する椅子の採用も増えてきました。
働き方の多様化に伴い、2010年代には体格の小さい女性や大柄な外国人に対応する椅子など、タスクシーティングのバリエーションがどんどん増えてきました。
浅田
コロナ禍と同時に始まった2020年代。在宅とオフィス両方で働く「ハイブリッドワーク」やコワーキングスペースを利用するなど、働く環境がさらに多様化しています。
最近のオフィスは、住居に近い雰囲気を持つ「レジマーシャルデザイン」を採用する企業も増え、よりインテリア性の高い椅子が好まれるようになりました。
一方で、緊急事態宣言で強制的に在宅勤務となり、オフィスで使用しているタスクシーティングの機能性を再認識した人も多いのではないでしょうか。