岡山・矢掛町に「里山田サテライトオフィス」 古民家オフィスで週末農業を取り入れたワーク&ライフスタイルを提案
2021年10月1日(金)、岡山県の南西部に位置する矢掛町の里山田地区に「里山田サテライトオフィス」がオープンした。運営は矢掛町役場 企画財政課。
「里山田サテライトオフィス」は築100年以上の古民家を改修した施設で、執務用の「オフィス棟」と、利用者やその家族が入居する「居住棟」、そして約300㎡の畑からなる。
改修前の古民家は長らく空き家となっており、利用されないまま損傷が進んでいた。
古民家をサテライトオフィスとして再生する事業は、増え続ける空き家問題やこれからの働き方などを考えた、社会への提案でもあるという。
「コンセプトは半農半IT」と話すのは、矢掛町町役場・企画財政課企画係の河上さん。県外の情報通信事業者などを想定し、テレワークのかたわら土いじりができるオフィスを企画。古民家の片付けから設計・施工・PRの協議まで一貫して携わり、働きながらデジタルデトックスができる場を実現させた。
まずオフィス棟内に入ると、広々とした土間玄関がお出迎え。置き家具には再利用品を多く用いており、例えば町内の学校で使われていた棚なども活用している。
エントランスから続く北側の土間はカフェスペースで、アイランドキッチンや電子レンジ・冷蔵庫、コーヒーメーカーなどの家具家電を完備。休憩や雑談の場としても魅力的だ。
土間から上がると広さ約30㎡のコワーキングスペースがあり、プロジェクターやスクリーン、大型モニター等が備え付けられている。家具は自由に動かせるので、庭の緑を楽しみながら、会議や個人作業、その他さまざまな使い方ができる。
集中して働きたいときには執務スペースを使用。デスク4卓と個室スペース2卓があり、天窓から差し込む柔らかな自然光の中、最大6名が業務を行える。
オフィス棟に隣接する居住棟は、かつての納屋を改修した1LDK納戸付きの生活施設。縦に吹き抜ける空間が印象的で、空調やシステムキッチン、バス・トイレも完備。オフィス利用者の入居を想定している。
そして、オフィス棟・居住棟から徒歩0分の場所に位置するのが、入居者専用の畑。日当たりが良く、約300㎡の広さを誇るこの畑では、これまでにもトマトやトウモロコシなど、さまざまな農作物を育ててきたという。耕運機や基本的な農機具も用意されているため、気軽に週末農業を楽しめる。
「オフィスの隣に畑があるというのは、都心ではまず実現できない環境です。自然に囲まれた場所で、四季折々の暮らしを楽しんでいただけると嬉しいです」と河上さん。
入居募集の対象は、岡山県外でクリエイティブ事業またはSOHO事業を営んでいる事業者。5年以上の契約を条件としており、県外企業の人々が家族と一緒に移住することで、人口増加にも繋げたいという。
入居費用は1月あたり120,000円(オフィス棟80,000円、居住棟40,000円)。オフィス棟については、入居後3年間は無償で利用できる。
「モニターとして体験された方からは、畑仕事をしていると近所の方から話しかけられ会話が弾んだ、地元の方々と触れ合えるハブにもなりそうといった声もいただいています。サテライトオフィスの利用をきっかけに地域と交わり、地元の商業や産業とのつながりも生まれる場にしていけたらと思います」と河上さんは話す。
見学・体験も随時受け付けている。
里山田サテライトオフィス
岡山県小田郡矢掛町里山田2365番地1
執筆・編集:前田英里(株式会社オカムラ)