空気を読みすぎると何が起きるのか? 人の顔色をうかがうのをやめよう(澤円)
仕事でもプライベートでも、やりたいことは山のようにある。同時に、周りからのいろいろな頼まれごとにも向き合っていくと、いつの間にか予定はいつもパンパンに。この働き方、暮らし方は思っていたのと、ちょっと違う気がする……。そんなときに必要なのは、こだわりや常識、思い込みを手放すことなのかもしれません。連載「やめるための言葉」では、圓窓代表取締役・澤円さんと一緒に「やめること」について考えていきます。
なぜ「空気を読む」のか
日本には「空気を読む」という言葉があります。目には見えないはずの空気を読み取るという、エスパー的能力が求められるわけです。
そうすることで、日本社会はうまく回っていると考えている方も多くいらっしゃることでしょう。確かに、空気を読んで余計な波風を立てないことは、いろんなことがスムーズになる側面があります。
生成AIのGoogle Geminiに、「空気を読むというのは日本人特有のものでしょうか?」と聞いてみました。
その答えは……
「空気を読む」という行為は、確かに日本人に特有の文化と言われています。しかし、これは必ずしも全ての日本人が、全ての場面で、完璧に「空気を読む」ことを意味するわけではありません。
なぜ「空気を読む」が日本文化に根付いているのか?
- 集団主義の文化: 日本は、個人よりも集団を重視する文化が根付いています。そのため、周囲との調和を保ち、集団に溶け込むことが求められる傾向があります。
- 間接的なコミュニケーション: 日本語には、ストレートに自分の意見を言うよりも、状況や相手の気持ちを察して、間接的に伝えるような表現が多くあります。
- 高コンテクスト文化: 日本は高コンテクスト文化であり、言葉以外の情報(非言語的なコミュニケーション、状況、関係性など)から意味を読み取ることを重視する傾向があります。
うん、確かに!という感じですね。
そして、メリットとデメリットは以下のように答えてくれました。
「空気を読む」ことのメリットとデメリット
- メリット:
- 円滑な人間関係を築くことができる。
- 集団の調和を保つことができる。
- 相手の気持ちを慮ることができる。
- デメリット:
- 自分の意見を言いにくい。
- ストレスを感じやすい。
- 個性を抑え込んでしまう。
これまた納得感のある回答が出てきました。そして、このデメリットの部分こそ、今回ボクが目を向けたいところです。
空気を読みすぎると何が起きるのか。
今回のテーマは、「顔色を見るのをやめよう」なわけですが、これはすなわち「空気を読むために他人の顔色ばかり気にしてしまう」ことをからの解放を提案したいと思っています。
空気を読むために、自分の意見を押し殺したり、やりたくないことを黙ってやったり、本来の自分とは違うキャラクターで職場で過ごしたりしている人はいませんか?
もちろん、なんでも自分の思い通りになるわけではないことは言うまでもありません。
でも、自分をあまりにも押さえつけて仕事をするのはしんどいものですし、結果的に自分の最高のパフォーマンスを出せないとなれば、会社・組織にとっての損失でもあります。
「周囲に合わせて……」と全員が考えすぎてしまうと、全体のスピードが上がりにくくなります。
運動会の「ムカデ競走」を想像してみましょう。ムカデ競走は、全員の足を物理的に板にくくりつけるので、自分のペースで歩こうとしても無理ですよね。ペースを合わせないと一歩も進めず全員転んでしまいます。
でも、職場の仕事はそこまで足並み揃えなくても、全員転ぶなんてことはないですよね。それぞれが一番いいペースで仕事をすることが、結果的に生産性を高めることにつながるはずです。
それでもなんとなく他人の顔色が気になるのは「出る杭は打たれる」というリスクを負いたくないという意識の表れでしょう。
実際、ボクが顧問をやっている会社で、若手が「うちの部は『言ったもの負け』になりやすいので、できるだけ目立たないのが生存戦略になるんです」と言っていました。
これは、何かしら思いついたアイディアを口にすると、「じゃあ、あなたがそれをやってね」とお鉢が回ってきて、仕事が“純増”するのだそうです。
なんとなくそれは損だと思って、先輩や上司の顔色を伺いながら、「期待値ちょうどあたりの結果を出し続ける」ことを目指すのだとか。うーん、実にもったいない!
まず自分からオープンマインドになる
「顔色を見る」は自分からの視点ですが、逆に自分も「顔色を見られている」ことも意識しないといけませんね。
「とんがった人」「才能豊かな人」「常に挑戦する人」に向けて、「応援する顔」を見せていますか?
「ちょっと目立ちすぎなんじゃない?」
「失敗したらどうするの?」
「職場の雰囲気が悪くなるよ」
こんな言葉が出てきそうになったら要注意。職場の成長を止める顔色をしている証拠とも言えます。
「自分はいいけど、XXさんが気にするかもね」とか、その場にいない人の名前を出すのもよろしくないですね。ストレートに言えば、カッコ悪い。
大事なことは、「他人の顔色を気にする前に、自分がいい顔色で過ごす」というマインドを持つこと。
そして、「自分は誰でも尊重して応援します」という、オープンマインドな姿勢を心がけることで、いい雰囲気を作る震源地となってみましょう。「そういう態度をとると損するんですってば!」と思った方がいるかも知れません。
でも、それこそがまさに「気にされる顔色」をしているのです。組織の成長を阻害する顔色でいるよりも、後押しする顔色をして過ごしてみませんか?
アイキャッチ制作=サンノ
編集=ノオト