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リモートワークの浸透と変化

この記事は、“はたらく”にまつわる研究データをまとめた冊子「WORK MILL RESEARCH ISSUE02 はたらき方のニューノーマル」(2020年11月発行)からの転載です。

ウィズコロナの時期は在宅勤務が推奨されましたが、本来のリモートワークでは自宅以外の働く場所も活用して効率的・健康的に働くことができます。今後、リモートワークを活用してパフォーマンスを高めるためにはどのような方法があるでしょうか。

あなたの仕事はどれくらいリモートに置き換えられますか?

これからの時代は対面のオフィスワークとリモートワークのバランスを意識しながら働くことが求められます。では、私たちの仕事はどれくらいの割合をリモートワークに置き換えることが可能になるのでしょうか。オカムラが14社のワーカー282名に行ったアンケート結果では、「社内会議の半数以上をリモートに置き換え可能」と答えている人が過半数いました。同様に「社外を交えた会議」や「会議以外の仕事」についても過半数近くの人が「5割以上置き換え可能」と答えています。

注目したいのは、上司や同僚との間で起こる偶発的な会話(雑談)に関して「置き換えられるものはない」と答えた人が23%いて、「5割以上置き換え可能」と答えた人は4人に1人に留まった点です。チームで仕事をする際にはメンバーの人となりを知り、気軽に質問やアドバイスができる状態が望ましいですが、リモートではなかなかその素地となる雑談を行うことは難しいようです。

オフィスのほうが捗る仕事、リモートで捗る仕事

リモートに置き換え可能な仕事が一定割合あることはわかりましたが、ただ置き換えるだけでなく、リモートでやったほうが効率が上がる仕事は何かという視点も重要になってきます。

仕事の内容ごとに、オフィス、リモートどちらの方がより効率が上がるか聞いたところ、「ちょっとした相談」「社内会議」「上司、部下への報告」については圧倒的に出社しておこなった方が捗ると答えている人が多いことがわかりました。一方で、「個人作業(資料作成など)」については6割以上の人がリモートの方が捗ると答えています。リモートは周囲から声をかけられることがないため、集中作業に向いています。そうしたメリットを感じている人が多いのではないでしょうか。

ここまで見てきたリモートワークですが、オフィス以外の働く場所には「自宅」「サテライトオフィス」「シェアオフィス」といくつかの種類があります。そこで、2019年のテレワークデイズ※1にあわせてオカムラ従業員1,650名に調査をしたアンケート結果を基に、それぞれの特徴を紹介します。

※1 総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府が東京都および関係団体と連携して、2017年よりテレワークの一斉実施を呼びかける働き方改革の社会実験。

在宅勤務のメリット・デメリット

在宅勤務のメリットについては、「肉体的疲労が軽減される」がトップにあげられています。「集中作業ができる」とともに在宅勤務ならではの「家事をこなすことができる」という意見もありました。

デメリットを見てみると「プリンタなど出力ができない」がトップになり、次いで「書類や資料が手元にない」となっています。どちらも紙に関わることから、ペーパーレスを進めることによってこれらのデメリットを解消することができると考えられます。

コロナ禍では急に在宅勤務を開始した人も多かったと思いますが、本来であればメリットを引き出す工夫や、デメリットを解消するための工夫などを組み込んだうえで導入されることが一般的です。この機会に効率と健康を意識してどのような改善がはかれるか考えてみましょう。

シェアオフィスのメリット・デメリット

今後、リモートワークを行う際には、仕事場としてシェアオフィスを選択したい人や、利用を検討している人も多いのではないでしょうか。では、シェアオフィスでのリモートワークのメリット・デメリットを見ていきましょう。

多くのサービスが展開されているシェアオフィスですが、利用することのメリットのトップは「集中して作業ができる」に次いで「作業効率が向上する」となっています。仕事に直結する面でのメリットが上位にきていることがわかります。また「通勤時間の削減」と、それにともなう「肉体的疲労の軽減」「精神的疲労の軽減」も上位にあげられています。

デメリットとしてはどの項目もそれほど高い値を示していませんが、オフィスと違い、必ずしも機器類が揃っているわけでもないため「プリンタなど出力ができない」という意見や「席数が少ない」といった意見があがりました。

サービスの選定においては、利用料金の高低もありますが、どんな場面で、どれくらいの時間使用するのかといったバックデータをとっておくことが重要です。自宅に近い郊外に多くの拠点を持つサービスが有効なのか、都市部のターミナル駅に近い拠点が多いサービスが有効なのかは職種や業種によって異なります

サテライトオフィスのメリット・デメリット

自宅やシェアオフィスと比較して、もっともオフィスに近い環境としてあげられるのが自社内のサテライトオフィスです。ここを仕事場として選ぶ人の声を見ていきましょう。

社内の他拠点のメンバーも働けるように設えられたサテライトオフィス。そのメリットとしてあげられているのが「通勤時間の削減」です。直行直帰の中継地点として機能したり、在宅勤務が困難な際に自宅から近い拠点で働けたりするなど移動時間を削減することによる効率化を体験している人が多いようです。

デメリットを見ると、同じ社内とはいえ、複合機のメーカーや機種が異なって出力が難しかったり、書類や資料が手元にないといった意見が多いことがわかります。ただ、これらのデメリットはペーパーレスを進めることで一気に解決できるテクニカルな問題です。

自社で管理しているサテライトオフィスは通勤時間の面だけでなく、セキュリティ面でも大きなメリットがあります。オフィスのエントランスに近い打ち合わせコーナーやカフェの一部を他拠点のメンバーが働ける空間として開放するなど、ちょっとした工夫でサテライトオフィスとしての機能を設けることができます。普段は出会わないメンバーとの交流が生まれることもサテライトオフィスを設置する重要な意味になります。

リモートワークで働くときの選択肢とその特徴

いろいろな場所を使って働くことのメリットを最大化させ、効率よく健康的に働きたいものです。個人で集中して行う作業はリモートで行うと捗ります。一方で会議や雑談はオフィスで行った方が良いということがわかりました。コロナ禍に際して、はじめてリモートワークを行ったという方も多い中で、どうやって働きやすい環境をつくり出していくのかが今後の課題になってきます。会社が投資して実現することがある一方で、私たちにも自分が置かれている状況に合わせ、最適な働く場所を選択していく能力が求められます。

「リモートワーク」のまとめ

コロナ禍にともなう在宅勤務の実施は、なかば強制であったため本来のリモートワークとは違った窮屈さを覚えた人も多かったはずです。ただ、実際に行ってみるとリモートで捗る仕事、捗らない仕事があることがわかります。仕事の内容に合わせてリモートを選択することはとても重要です。また、ニューノーマルにおいては自宅に限らず、シェアオフィスやサテライトオフィスを使って働く機会も増えます。働く場所も、それぞれメリット、デメリットが異なります。効率よく働くために多くの選択肢を得ることと合わせて、私たちもそれらを使い分けて働くことが大切になります。

2020年11月25日更新