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遠隔地同士の共創プロジェクトをスムーズに進める3つの法則 ー オンラインでのコミュニケーション分析から探る

昨今、大企業や中小企業、スタートアップといった括りや既存の事業領域という枠組みを超えて、共通の課題を解決していく「共創」の機運が高まっています。こうした共創においては、異なる専門性を持ったメンバーが全国各地から集まることも多くあります。

  今回はオンラインコミュニケーションに焦点を当てることで、共創型プロジェクト、ひいてはこれからの働き方の可能性を探っていきます。

地域も専門性も異なるメンバーによる共創。そのコミュニケーション手段は?

共創している人はどのように仕事を進めるのでしょうか。オカムラは、とあるグループを対象に研究を行いました。メンバーは8人。それぞれ異なる専門性を持ち、東京、横浜、名古屋、長崎と、全国各地に散らばっているのが特徴的です。

一堂に会して作業や打ち合わせを行うことができない状況で、どのようなコミュニケーション手段を用いているのかを計測しました。

メンバーが半年間、直接会って仕事したケースは5%にすぎず、残りはすべてオンラインで完結しています。

さらに詳しく見てみると、一番多かったのはSNSにおけるメンバー限定グループページ(例:Slack等)でのやり取り。業務連絡をはじめ、成果物をアップし、互いに確認できるようにしています。

その次はSNSメッセンジャー(例:Facebookメッセンジャー等)。ちょっとした質問を投げかけておき、手が空いたときに答えてもらうなど、グループページよりも気軽なやり取りが行われていたようです。

こうしたオンラインでのやりとりは「即レス」が基本なのかと思いきや、今回の研究においては、即時応答を求めないケースが9割以上を占めました。メンバーは他に本業があるため、都合の良い時に返事をするという形態が好まれたようです。

とはいえ、プロジェクトの進行具合によって使用されるコミュニケーションは異なります。「即レス」が基本的にいらないとはいえ、プロジェクト初期は重要な意思決定も多く、Face to Faceや音声会議などリアルタイムでやり取りできる方法が好まれています。

一方、中盤以降はメール、後半はSNSやメッセンジャーでのやり取りが増えています。後半になるにつれ、状況に応じて返事のタイミングを変えられ、かつ簡潔にやり取りできるツールが好まれているのがわかります。

このように、メンバーはリモートでの仕事を不便と捉えるのではなく、状況に合わせて適切なコミュニケーションを取ることで、「自分のペースを大事にしつつ仕事をする」選択をしていることがわかりました。

オンラインコミュニケーションは本当にやりとりの必要があるメンバーとのみ行うことが多いからか、半数以上のコミュニケーションは一対一で行われていました。

また、返事を必要としないやり取りも3割にのぼりました。SNSページにアウトプットをあげると「既読」や「がつくため、コメントがなくとも内容が確認されたことがわかります。これにより、確認作業がいち早くできるのです。

オンラインコミュニケーションのメリット・デメリット

こうしたオンラインでのやり取りに対し、メンバーからはおおむね満足していたという回答が得られました。

  • アウトプットベースで話すので効率的
  • 忙しいときに拘束されない緩い雰囲気が良い
  • 過去のやり取りやアウトプットを遡って確認できるので便利
  • 離れていると、相手の状況を想像して先回りした対応が生まれるので仕事が早い

自分のペース、かつアウトプットベースで仕事が進むため効率的という点が評価されていました。

一方でデメリットもあったようです。

  • 方針や仕事の進め方を決定するときは、実際に会って決めた方が良かった
  • イベントを開催するにあたり、開催地の状況を伝えにくかった
  • 共有されたアウトプットに関して説明が足りず、誤解が生まれてしまった

遠隔地でも上手にコミュニケーションをとり、プロジェクトを進めるには

前述した研究結果やメリット・デメリットを踏まえると、共創型プロジェクトを成功させるには3つのポイントがあることがわかります。

①重要な意思決定は対面で行う
 オンラインコミュニケーションを基本とし、キックオフや重要な意思決定の際は実際に会ってじっくり話し合う

②リアルタイムでないコミュニケーションが基本
 相手に即時応答を求めず、互いに手が空いたときにやり取りする

③必要最小人数でやり取りを行う
 常に全員の足並みを揃えたり、了承を得たりするのではなく、その都度必要となる人のみで、アドホックなやり取りや作業を行う

このような点を踏まえると、拠点を異にするメンバー同士のプロジェクトにおいては、オンラインコミュニケーションによって仕事はむしろ効率的になるでしょう。その分、必要に応じて行う対面での仕事には、これまでより高い密度が求められます。

オンラインでの仕事が基本になれば、むしろオフラインでの仕事の重要性は高まるのではないでしょうか。メンバーが集まるオフィスをはじめとした環境づくりは、そうした仕事のスタイルを踏まえてデザインすることが大切になってくるでしょう。

 
2019年7月25日更新

リサーチ:池田晃一(株式会社オカムラ)編集:菅原 沙妃
イラスト:野中 聡紀
データ参照元:コミュニケーション分析に基づく共創の場の設計 (株式会社オカムラ)

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