新ステートメント「もっと、ぜんぶで、生きていこう。」のもとで再出発! 10年目を迎えて見えたWORK MILLらしさとは?

活動開始から10年目を迎えたWORK MILL。2025年4月から新ステートメントとして「もっと、ぜんぶで、生きていこう。」を掲げ、さらにWORK MILLらしい活動のあり方を探ることになりました。
今回は、新ステートメントを一緒に考えたコピーライターの久岡崇裕さんと、WORK MILLメンバー4名が、「もっと、ぜんぶで、生きていこう。」に込めた想い、今後取り組みたいことを座談会形式で語りました。
活動を始めて10年。新たなステップへ

山田
WORK MILLは2015年に発足した、「はたらく」を考え、「はたらく」を変えていく活動。リサーチメディアによる探求・発信と、全国4拠点での共創を、2本柱として展開しています。
2025年はWORK MILLが始まって10周年を迎える年。これからWORK MILLとして、皆さんとどういうことをしていきたいか。新ステートメント「もっと、ぜんぶで、生きていこう。」を掲げた背景をいろいろ話せればと思っています。


岡本
WORK MILLがスタートした2015年ごろは、「働き方改革」が叫ばれた時代でしたよね。長時間労働の是正による生産性の向上や働き方の選択肢の多様化に、日本社会全体で課題感を持って取り組みはじめました。
ですが、組織だけに働く環境や働き方のコントロール権をゆだねるのではなく、もっと「個人」が自覚的に変えていかないといけない。
そこで、WORK MILLでは、「働く環境を変え、働き方を変え、生き方を変える。」という言葉を掲げ、「働き方を考えることは、より良い生き方へ導くものだ」というミッションで活動を続けてきたんです。


岡本
でも、この10年間で世の中の働き方はアップデートを続け、当初掲げていたミッションが当たり前になってきました。
だからこそ今、改めて私たちの体温が伝わるメッセージで、これからの働き方に対する価値観を届けたい。そういう思いで、新ステートメント作成に至ったんです。
「もっと、ぜんぶで、生きていこう。」に込めたWORK MILLらしさ


宮野
最初はWORK MILLメンバーだけでブレストして、「私たちが大事にしたいこと」を言語化しようとしたんです。でも、難しくて……。


岡本
途中から、共創活動で出会った、株式会社parks代表 / コピーライターの久岡崇裕さんに「ぜひ一緒に考えてください」とお願いしました。
久岡さんの作る言葉は、人の心を掴むんですよ。新ステートメントは誰かの心に刺さるものにしたかったので、ぴったりだなと思いまして。
ありがとうございます。
WORK MILLメンバーの皆さんのブレストをもとに、僕は皆さんの想いをぐっと凝縮して言語化するところをお手伝いできれば、という想いで参加させてもらいました。

久岡


宮野
久岡さんから新ステートメント「もっと、ぜんぶで、生きていこう。」を提案いただいた時、岡本さんが感嘆の吐息を漏らしていたのが印象的でしたね。

岡本
一目ぼれでした!
「これが私たちの表現したい世界観だ!」と明確になった瞬間でしたね。

山田
働き方って「一気に変わる」ことを求めがちですが、習慣なんですよね。
私たちの活動が、即効薬的に広がって、働き方が急に変わったりするとは考えていません。もっとじっくり、ゆっくりと漢方薬的な効き方をする活動なんです。
久岡さんの作られた言葉には、そういった私たちの活動の想いも含んでいいただいたのかなとステートメントを見て感じました。

前田
私は前のステートメント「働く環境を変え、働き方を変え、生き方を変える。」も好きでしたけど、新しいステートメント「もっと、ぜんぶで、生きていこう。」では私たちの芯の部分があたたかな言葉で表現されていて。
「自分の気持ちが乗っている」印象がありましたね。

「ぜんぶで生きる」ってどういうこと? その人らしさを大切にするメディア&場づくり

岡本
今回、新ステートメントと合わせて、WORK MILLの定義づけも久岡さんにお願いしたんです。


岡本
これまで、WORK MILLの取り組みを端的に表現できる言葉がなかったんですよね。
「どんな人にも伝わるように言語化したい」という思いもあって……。そこをフォローしていただきました。
合わせて、行動指針も見直して、WORK MILLらしい手触り感のある言葉にしたんです。


宮野
ステートメントの「もっと、ぜんぶで、生きていこう。」に加えて、この行動指針があることでWORK MILLが取り組んでいる共創活動のあり方も示せましたよね。
「共創」という言葉は、いろいろな場面で使われますが、実はその解釈ってかなり多様なんですよ。
この行動指針には、私たちが大事にしたい「共創」の姿勢が表れているなと感じます。
そうですね。WORK MILLの場合、「まず自分が何をやりたいか」から始まっているのが面白くて。
個の発信から周りとの関わりが生まれて、気づくと大きな輪として広がっている。その順番がとても大切なのではないかと考えました。

久岡


岡本
共創でも、その人らしさを大切にするのって、すごく大事なんです。
会社員って最初に会った時に名刺に収まる話をしがちじゃないですか。肩書とか、役職とか。でも、それだけでは共創は生まれないんです。
その人の好きなことやこれまでの人生で培ってきた考え方、価値観などいろんなバックグラウンドを、お互いに安心できる環境で表現しあって初めて、次のステップへ行ける。
私たちが目指しているのは、そういう活動体なんです。


岡本
コミュニティは、共感があって初めて形になるもの。だからこそ、共創空間では「自分の考え方や価値観を言葉にすること」が大切なんです。
かくいう私もコミュニティマネージャーに任命されたばかり頃は、自分の言葉で話せなかったんです。けど、それで失敗して……。
それからは、コミュニティマネージャーとしてハブの役目を果たすためにも、自分の感情に素直になる姿勢を持ち続けるようになりました。


岡本
そうしたら、「岡本さんがいるオカムラと仕事がしたい」と言ってもらえることが増えたんです。
実は仕事って、この繰り返しなんですよね。「この人と仕事をしたらうまくいく」とお互いに感情移入することで、いいものが生まれていくんです。

前田
面白いですね。
10年間活動を続ける中でそういった気づきが積み重なって、WORK MILLが大切にしたいことの輪郭が形づくられてきた気がします。

岡本
一人ひとりの働き方が面白くなったら、所属している会社にも関係者にもいい影響を与えるし、さらに広がれば日本の社会全体が面白くなるかもしれない。
そんなふうに一人ひとりのポジティブな影響力を信じて、活動していきたいですね。
僕自身、WORK MILLの皆さんのこういうあり方にはすごく共感しています。
今の働き方改革って残業を減らして、休みを適正化していますよね。つまり、プライベートを充実させるという側面ばかりが取り上げられがちで……。
でも、働く時間が減っても会社に属していることに変わりはないじゃないですか。やっぱり仕事の中身でも幸せを感じられないと、その人らしくは生きられない。

久岡

岡本
本当にそうですよね。
コピーライターとしていろんな会社のチャレンジを応援する中で、仕事と自分の人生を結びつけて語る人たちは、すごく輝いて見えます。
だから、WORK MILLが向き合っている課題感は他人事だとは思えませんでした。

久岡
メンバーに共通する「働き方が変わった経験」

宮野
私たち自身もまだ言葉にできていないWORK MILLらしさを掴むため、久岡さんが丁寧なヒアリングをしてくださったのも印象的でした。
個別ヒアリングとしては、ここにいる全員に、学生時代に経験したことやオカムラに入社した理由、これからやっていきたいことなどを聞かせてもらいました。
皆さん、バックグラウンドはバラバラなんですけど、WORK MILLという活動を通して自分の働き方や生き方が面白い方向に変わったという経験が共通していましたね。

久岡

それぞれから印象的なエピソードが出てきて面白かったです。たとえば、前田さんが「WORK MILLメンバーのおかげで、働き方が変わった」とお話されていたこと。仲間同士で互いの人生に影響を与えて、「働く」を温かなものに変えたんですよね。
新ステートメントには、その熱がチームを飛び越えて、まだ会ったこともない人にも広がっていけばいいという想いも込めました。

久岡

前田
ありがとうございます。
個人的には、2022年に自分で記事を企画・取材・執筆したことも大きな経験でした。地元・岡山にある「里山田サテライトオフィス」について紹介したんですよ。
岡山・矢掛町に「里山田サテライトオフィス」 古民家オフィスで週末農業を取り入れたワーク&ライフスタイルを提案 | WORK MILL


前田
それまでは、基本的に「言われたことをきちんとやる」を重視して働いていました。もちろんそれも大事なんですが、「自分の心が動く方に一歩踏み出していいんだ」と気がついて。
そうすると、「自分にできることって意外とあるのかも」「もっとこんなことができないか」と思考や行動が少しずつ変わって、仕事を通じて行えることの幅も広がってきたと実感しています。

山田
WORK MILLメンバーは、みんなそういう経験をしてきたんですよね。
WORK MILLでは、Forbes JAPAN 編集部とともに「はたらく」を考えるビジネス誌を2017年から制作・発刊しています。
3号でイノベーションをテーマにロンドンのデザインについて取り上げたんですが、とあるイベントで偶然お会いした読者から「改めて留学に挑戦することにしました」といった言葉をいただいたんです。

山田
その方とはいまだに交流があり、留学後は、家族でイギリスへ移住して新たなビジネスを立ち上げています。
WORK MILLが少しでも行動を起こすきっかけになったのが、うれしかったですね。


宮野
私もありましたね。私は営業からWORK MILLに異動したんです。
新しい部署に配属されると、普通は「あなたは何ができるの?」と聞かれるはず。でも、WORK MILLでは「宮野さんは何がしたい?」と言われて。
「ここは私のやりたいことを尊重して、応援してもらえる環境なんだ」ってすごく新鮮でした。


宮野
それで自分からお世話になった知り合いに声をかけて、キャリアを考えるイベントを企画したんです。
そうしたらある参加者の方から「今日のイベントで得たことを、帰り道から実行してみようと思えた!」とお声がけいただいて……。「ただイベントを楽しんでもらうだけではなくて、その人の次の一歩を後押しできたんだ」と思えて、すごくうれしかったんです。
その経験から、「私がいいなと感じたことを、もっと世の中ごとに広げていきたい」と思うようになりました。
新ステートメントのもとで挑戦したいことは?

宮野
私はWebメディアを通じて、WORK MILLがどういう集団なのかもっとわかりやすく伝えたいです。
実は、今回の新ステートメント構築にあわせて、プロフィールページを更新したんです。
個人のプロフィール欄に、その人が企画したイベントページや関わった取材記事を紐づけました。そうすると、それぞれが何に興味を持って活動しているのか、可視化できますよね。

岡本
ほかにも、WORK MILLの取り組みを広げることで、共創の場づくり自体もオカムラが提供できるソリューションになると思うんです。


宮野
個人の熱意と、組織のリソースを組み合わせることで新たな価値を生み出せるケースもあるんですよね。

岡本
そうなんです。
会社にとっても個人にとってもプラスになる活動を続けることで、最終的には、会社と個人が対等な関係を結んでいけたらいいなと思います。

前田
私はWORK MILLに関わっていろんな経験をするなかで、「自分の心に従って動いてみる」大切さに気がつきました。
でも、そういうことを試す機会は案外少ないのが現実。だからこそ、一人ひとりの「やってみる」を、WORK MILLの活動を通して後押ししたいと思っています。

宮野
社内でも、共感してくれる人が増えるとうれしいですよね。
今回の新ステートメントは社外だけでなく、社内に向けても発信していきたいなと思っています。

山田
新ステートメントを起点に活動することで、WORK MILLに関わる人たちを社内外で増やしていきたいと思っています。
特別なスキルのある人だけではなく、はたらく一人ひとりの可能性を広げる機会をつくっていきたいですね。


宮野
まさに「自分がやりたいことを仕事につなげることで、働き方がこんなに変わるんだ」と体験できる舞台をWORK MILLでつくれるといいですよね!

岡本
新ステートメントを旗印に、WORK MILLに共感してくれる人とどんどん共創していきたいですね。
これからを楽しみに、いろいろな「やってみる」を私たちも続けていきます!

2025年3月取材
取材・執筆=ゆきどっぐ
撮影=栃久保誠
編集=鬼頭佳代/ノオト