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編集部がミル ― LOVED COMPANY 愛される会社

WORK MILLメディア編集部が日々の取材で掲載しきれなかった内容や、気になっている場所や物などをコラムとしてこれからお伝えしていきます!

 

2019年4月11日発売されたのペーパーマガジン「WORKMILL with ForbesJAPAN ISSUE 04」。テーマは、「LOVED COMPANY 愛される会社」です。物的にも精神的にも満たされた現代社会において、大量生産・大量消費の時代がもう終わりを迎えています。 世界中で人々の意識が変わりつつあるいま、 企業はどのような変化を求められているのでしょうか。ペーパーマガジンでは、「愛」という理論でない人間の根源的な感情と企業をテーマに、顧客や社員、地域や社会との強い関係性をつくりだしている国内外の「愛される会社」を探求し、紹介します。

 

今回は、ソルトレイクシティ、サンフランシスコ、ニューヨークを取材する中でのそれぞれの都市の様子や感じたこと、訪れた場所などダイジェストでご紹介します。まずは、ソルトレイクシティからです。

 

ソルトレイクシティの街並み

ソルトレイクシティのイメージとしては、冬季オリンピックが思い浮かびますが正直なところそれ以外の都市のイメージとしては何も思い浮かびませんでした。実際に、空港から都市部に向かうタクシーに乗った際に運転手さんから、ソルトレイクシティに来た目的を聞かれ、答えたところ物珍しそうに見られました。

 

ーソルトレイクシティの街並み

ー枯れたままの植栽

 

街に降り立って感じたことは、まず人がいないということです。そう、おそらく一番栄えているであろう中心部に行ってもあまり人がいませんでした。とはいえ、街はとても綺麗で立派なショッピングモールもありました(一部、枯れたままになっている植栽などはありましたが。)。モルモン教の支援で成り立っているとかいないとか、そんな話も聞きました。都市部から車で10分ほど行くと、こんな景色の場所もありました。街中とのギャップに驚きました。

 

 

そんな中、訪れたのはアウトドアブランドのcotopaxi(コトパクシ)。こちらの様子は、絶景と共にペーパーマガジン本誌でも紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

 

Lime

ソルトレイクシティの街中ではLimeという電動キックボードのようなものがよく利用されていました。こちらも、3号で訪れた中国のシェアサイクルと同様アプリで支払い・ロックの解除ができるもの。試しに乗ってみましたが、意外とコントロールが難しかったです。スピードも結構出るため、日本での活用は危険を伴うように感じました。道が広い海外だからこそ(特にこの街は、人がいなかったので安心して乗れました…!)、安全に利用できる交通手段だなと思います。

 

私たちが訪れたのは2月だったのですが、翌日の雪の予報に対応するためにトラックでキックボードを回収している場面にも出くわしました。このサービスは、正式なキックボード置き場がないため、利用者はあらゆる場所で乗り降りできるのが良い反面、街に放置されることが問題になっていたり、このような非常事態の場合は対応が大変そうだなと感じました。都市部では電動キックボードが短期間で広がり、問題になっているそうです。現に、Limeはサンフランシスコ発の企業ですがサンフランシスコ市内では見かけませんでした。サンフランシスコでは、業者を免許制にするなど制度が後追いで整えられているようです。

 

 

次はサンフランシスコです。サンフランシスコといえば、州民の平均年収1500万円とも言われ、年収600万円では貧困層になるという日本の感覚でいると恐ろしい状況の州でした。

 

Amazon go

 

レジがないコンビニといわれるAmazon goを体験。ご存知かもしれませんが日本にはないので念のためご紹介すると、事前にアプリをダウンロードして、クレジットカード情報を登録し、発行されたQRコードをゲートにかざすと店内に入れ、お会計にならぶ必要はなく、上の写真のゲートを通り抜けるとクレジットカードから引き落とされます。店内は無人なのかな、と勝手に想像していたのですがレジスタッフはいないものの、店内では商品を補充しているスタッフやゲートにも管理している?スタッフがおり全くの無人ではありませんでした。

 

 

実際に利用してみた感想としては、「本当にこれで大丈夫なのだろうか…」ととても不安でした(小心者です)。ゲートを通り抜けてしばらくすると、クレジットカードに設定したメールに明細が届き一安心しました。レシートの紛失もなく、ペーパレスでとても便利だなと感じました(便利な反面、その場でいくら使ったかがメールをチェックしないかぎりわからないのは浪費にもつながりそう、とも感じました)。

 

BI-RITE Market(バイライトマーケット)

 

現地在住の方に案内いただいたのはBI-RITEというスーパーマーケット。フレッシュな地元生産の商品を集め、販売しているスーパーです。私たちが訪れたのは、平日の雨の日のためかさほど店内は込み合っていませんでしたが、休日はとても込み合っているそうです。人気の理由は、販売している商品そのものクオリティーに加え、店員さんたちは食材の産地、生産者、作られ方を理解しており、説明ができ、とてもフレンドリーな接客な点とのことです。私は実際に説明を受けたりはしませんでしたが、フレンドリーで活気のある雰囲気は体感できました。

 

こちらのスーパーマーケット、私たちが3号取材時に注目したBコーポレーション認定企業でした(ちなみにサンフランシスコ市内を歩いていると、トラックの企業宣伝にBコーポレーションが掲載されていたり、日本よりもメジャーなマークということが体感できました。)。個人的な感覚ですが、環境に配慮した企業の認証制度をスーパーマーケットが取得しているのはとても意外でした。

 

※Bコーポレーション…米国ペンシルバニア州に本拠を置く非営利団体のB Labが運営している認証制度で、環境、社会に配慮した事業活動を行っており、アカウンタビリティや透明性などB Labの掲げる基準を満たした企業に対して与えられる民間認証です。

 

続いて、ニューヨークです。ここからは、私たち編集員も滞在したデザインホテルやD2C(Direct to Consumer)カンパニー巡りの様子をご紹介します。まずは、デザイン性の高さとコストパフォーマンスを兼ね備えたホテルのご紹介です。

 

PUBLIC HOTEL

ーロビーからエントランスへ

 

マンハッタンのロウワー・イーストサイドにある、ブティックホテルの先駆者でありホテル業界に革命を起こしたと名高いイアン・シュレーガー氏創設のホテルです。部屋だけでなくラウンジ、レストラン、ショップと全てがスタイリッシュな内装。それでも価格帯はホテル宿泊費の高いNYの中でもお手頃といえます。理由として、チェックインやチェックアウトはipadでセルフサービス、ドアマンや荷物を運ぶサービス係といった人員配置はなし。部屋はクリーンでセンスは高いけれどアメニティは必要最低限。人件費や経費をかなりカットしている印象でした。

ー客室

 

その代わりサービスとして、部屋以外でも無料で高速Wifiが利用できるラウンジを広くとり、朝から夜遅くまで常に多くの人が常に集まりPCで仕事をしたり打合せで利用していました。また、三ツ星シェフ監修の創作料理店とオールデイダイニングもあります。部屋で軽食をとるためテイクアウトで、また取材チームで夕食をとるためとダイニング「Public Kitchen」を2回利用しました。オーガニック、ヘルシーな食事をファスト&カジュアルに提供、とうたっているだけあり、なかなかおいしかったです。滞在時期がちょうどNYファッションウイークに重なっていたこともあってかおしゃれな人々が沢山集まっていて、空間に負けない攻めたファッションの方々に思わず見とれてしまいました。5つ星ホテルは泊まれない(泊まらない)けれど、安ければいいわけでもなく。という利用層へ需要の高いホテルだと思いました。

 

ACE HOTEL(エースホテル)

ーレセプション

 

もともと西海岸で有名になったグループが経営のデザインホテルです。こちらもマンハッタンの中心部にありながら、古いアパートを改装したホテルということで、NYにしては割安な価格設定となっています。室内のインテリアはカジュアルな印象で、私の滞在した部屋も妙に広い空間や入口から遠い場所にあるバスルームと、もともとのアパートの一室という雰囲気をそのまま残していました。

ー客室

ーロビー

続いて、D2Cカンパニー巡りのご紹介です。ペーパーマガジンでは、全米で飛躍を続けるD2Cカンパニーリストを紹介しています(P36-37)。その中から、ニューヨークで取材の合間にふらりと訪れた店舗をご紹介します。実店舗を持たずにネット販売から始まり、瞬く間に支持を得て、急成長してきた彼らの実際の店舗はどんな場なのでしょうか。

 

Warby Parker(ワービー・パーカー)

 

若者はもちろん、著名人にも愛用されているNY発のアイウェアブランドです。ペンシルバニア大学の学生4人で2010年に創業し、米メディアFast Company社が選ぶ2015年最もイノベーティブな企業ランキングで1位を獲得するなど、数少ないファッションブランドでのユニコーン企業です。そんなワービー・パーカーの店舗の特徴は、クラシックな図書館をイメージしてデザインされており店内に書籍や書棚にハシゴが並んでいる。そして実際に書籍も販売しているようです。なぜなら社名の由来が、アメリカの小説家ジャック・ケルアックの未刊作品の登場人物から取っており、「本」や「図書館」がキーワードになっているからです。そんなNYのSOHO地区にある店舗は製品同様にオシャレで知的な雰囲気でした。

ー店内中央のテーブルは、商品の陳列や紹介でなく、ワービー・パーカーの歴史が紹介されている。

ー店内中央のテーブルは、商品の陳列や紹介でなく、ワービー・パーカーの歴史が紹介されている。

ワービー・パーカーの店舗はブランドストーリーが分かりやすく反映されており、顧客は実際に製品を見て触れて購入できるだけでなく、ブランドそのものの世界観が体験できる場でした。そんな世界観に身を置くことで、彼らのストーリーをもっと深く知り、思わずメガネを購入しそうになりました。

 

Glossier(グロッシアー)

 

全米の女子を夢中にさせているビューティー&スキンケア・ブランド。フランス語の「人物調査書(dossier)」にちなんだブランド名で2014年にスタート。「ヴォーグ」のスタイリング・アシスタントを経験した創業者エミリーが美容ブログ「Into the Gloss」を立ち上げ、そこから見えてきた女性のニーズに沿ったスキンケア商品を開発し、急成長しているコスメブランドです。とにかく店内は内装も什器も淡いピンクで統一され、店員も同じく淡いピンク色のジャンプスーツを着用していました。さまざまなスキンケア商品がユニークなテーブルに一つずつ丁寧に置かれていましたが、男性の私はまったく分からなく、購買行動を理解してリサーチするにいたらず…。

ー2017年にSOHO地区にあったショールームを旗艦店としてオープン。高級感とカジュアル感がミックスされたような空間。

ー洗面用のシンクと洗顔料が備え付けられたラボラトリーのような雰囲気のスペース。顧客は試したメイクを洗い流し、何度でも別のアイテムを試すことができるみたいです。

ー店内の至るところに鏡が置かれていて、壁面にも「YOU LOOK GOOD」の文字と共に

ーさまざまな場所に装飾やコラージュが施されており、インスタ映えする店舗づくりになっています

伝統的な化粧品コーナーとは異なったグロッシアーの店舗は雰囲気だけでなく買い物をしている女性たちも明るく、とても楽しそうでした。それはウェブサイトやSNSを通じて、カジュアルに若者たちとコミュニケーションを取る同社のスタイルを表しているようで、まさに店舗でも店員たちは親しみやすい口調で顧客と友達のようにコミュニケーションを取っていました。

 

本誌でもコラムに登場したBIOTOPE代表の佐宗さんは、これからの「新しい売り方」を、店舗は「教会」に、ブランドは「宗教」になる、と例えています。顧客は、企業や商品、サービスに込められた思想や世界観が詰まった空間を体験することで、その企業やブランドへの理解や共感が高まり促進されます。店舗を持たなかったD2C企業があえて店舗を持ち始めるようになった理由は、ファンや顧客の信頼をより強く築くためで、まさに信者が教会を訪れ、信仰を深める姿に近いと思いました。

 

今回は訪れた街とあわせて、ダイジェストとしてご紹介しましたがペーパーマガジンでは「LOVED COMPANY 愛される会社」をテーマに顧客や社員、地域や社会との強い関係性をつくりだしている国内外の「愛される会社」を探求し、紹介しています。それぞれの会社の「愛される」理由が詰まった1冊になっていますので、是非興味をお持ちいただけましたら、ペーパーマガジンもお手に取っていただければと思います。

 

 

2019年5月9日更新
取材月:2019年2月

 

テキスト:山田 雄介(ニューヨーク D2Cカンパニー巡り)、井上 緑(ニューヨーク デザインホテル)、谷口 美虎人(ソルトレイクシティ、サンフランシスコ)
写真:山田 雄介、井上 緑、谷口 美虎人

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